ぼくの魔法使い
クドカン脚本のドラマ。2003年4月期に日本テレビにて土曜21時より放送。主演は伊藤英明と篠原涼子。
宮藤氏の近作「吾輩は主婦である」に通じる入れ替わり物(大林宣彦の「転校生」みたいな)。
ぼくは「マンハッタンラブストーリー」と「ロケットボーイ」は未見なので、確信を持ってはいえないが、クドカン作品の中で一番笑いの要素を詰め込んだ作品だと思う。5分に一度は笑った。
やはり感じさせられるのはクドカンのエピソードの組み立てのうまさ。複数のストーリーが同時進行し、伏線がラストで一気に収拾されていく美しさはなかなかない。
エピソードによってムラがあるのは残念だし、あと役者さんもほとんど文句はないが、西村雅彦さんは時々違和感があったかな(もちろんいい役者さんなのだけれども、三谷脚本で培ったあのキャラが頭にあって、クドカン脚本のバカなノリに終始徹している姿は・・・。)
伊藤英明はこのみったん役が一番好きだな。「弁護士のくず」の役も好きだけど。るみたんはきっと篠原涼子にしか出来ない役だ。古田新太はビジュアルでの演技もさることながら、るみたん状態の演技には幾度となく笑わせてもらった。
個人的に一番好きなエピソードは8話目の、ゲストが及川光博・須藤理彩・奥貫薫の回で、阿部サダヲ演じるキャップが所属する劇団を舞台にした回なのだけれども、まず、一般的にいえば変身モノコメディである「ぼくの魔法使い」においてこの話をするのは一種の自己満足だろう。演劇で育てられたクドカンにとって、自分の庭を描写するようなものだろう。それでも、この話は好きだ。
だって、泣いちゃったんだもん。
須藤理彩演じる女優が舞台で及川光博演じる脚本家のセリフを言う場面で。あのシーン、しばらく経ってもう一回見直したけれどやっぱり泣いた。
ぼくがクドカンを好きなのは、笑わせてくれるのはサービス精神からで、そのサービス精神は人柄からにじみ出てくるものだ(ろう)からだ。だから彼の作品は笑えて、泣ける。
クドカンは「おもしろい奴に彼女なんていちゃいけないんです」というくらい、微妙に恋愛に対して捻じ曲がった観念を持っている人だけに、史上最大のバカップルを描いたこの作品は相当意味があるのだろう。
♪アイラブユーOK
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