OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

aiko「花火」

 只今NHK-FMのほうで「サウンドストリート21」という番組においてaikoがDJをやっている。この番組は月替わりでミュージシャンがDJを担当することになっており、先月はベンジーだった。さすがにベンジーよりは小慣れた進行を見せるaiko。ぼくは高校生のころ「aikoの@llnightnippon.com」の熱心なリスナーだった。
 ちょうどぼくが大学に進学する時期に終了したこの番組、aikoのおしゃべりがとにかく好きだった。時代を半歩下がって付いていくような女の子のしゃべり。関西弁。
 さて、ぼくがaikoをはじめて知ったのは、一応「ナキ・ムシ」がリリースされた頃(1999年2月)だったと思うのだが、aikoっていいかもと思ったのは「花火」の時だった。
「夏の星座にぶらさがって上から花火を見下ろして」(AIKO作詞「花火」)という、少々ロマンチックな表現にちょこっとだけ涙の塩辛さを感じさせる歌詞、後半の展開していくメロディの気持ちよさに完全に持ってかれてしまっていた。
 このマキシシングルに収録されている全3曲は、「真夏の真ん中で感じる感傷」をテーマにしていて、どれも切ない。
「親指の使い方」では、欲張ったりわがまましたりしなくても自分の思い通りには進まない恋愛の不条理さを描いている。「会えなくなってから15日経ちました」(AIKO作詞)という日常感を感じさせる歌詞が挿入されることでさらに距離は近くなる。
「相合傘」。ピアノオンリーのアレンジに、学生の恋を生々しく、けど純朴に晒した歌詞に胸がキュンとなる(男で胸キュンして悪いか!)。「秋、そばにいるよ」に収録されたパンクバージョンよりずっと好きだ。
 aikoの歌詞の描き方は、小道具に自分の思いを語らせること、そして、視覚的な色彩のイメージ。それはこの時点で既に完成されている。この頃aikoは23歳。天才シンガーソングライターと言うにふさわしくて、全然ふさわしくない普通の女の子。
 とりあえず、来週の「サウンドストリート21」2時間生放送!ってヌルコム復活かよ!と三村ツッコミでこのレビューを終わらせるとする。
86/100

花火

花火