OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

それでもボクはやってない

 現代における痴漢冤罪問題についてリアリスティックに描いた周防正行監督11年ぶりの新作。
 加瀬亮の低くて決して威圧的ではない、けどすごく真面目そうな声はこの映画にピッタリだ。この声がなかったら加瀬演じる金子に自分を照らし合わせる事もできないだろうし、そして映画の世界に引き込まれ、痴漢冤罪について深く考えることもないだろう。そういう意味で言うと、金子につきあっているうちに法律について自分で勉強しはじめる友人(山本耕二)はひとつの観客の姿なのかもね。
 きっと自分が痴漢冤罪を着せられたら、示談金払って、それでサイナラだろうな。その時はムカつくだろうけど、こういった現実を知ってしまった以上、長時間拘束されて、多額の保釈金や控訴費用払わされて、それでも無罪になれるとは限らないという現実に立ち向かう勇気はない。そんな後ろ向きな思いの積み重ねが、この現状を呼んでいるのかもしれないけど。
 単純なハッピーエンドで終わらせず、解決策も提示していないことで、観客にどうすればいいのか考えさせているんだろうな。ホント、どうすればいいんだろう。

映画「それでもボクはやってない」FANSITE