OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

柴崎友香「次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?」

 「きょうのできごと」で著名な作家、柴崎友香の2001年発刊の中篇。
 この作品を読んで感じたのは、まるで大学入りたてのような瑞々しさがあるなということでした。
 別に主人公の置かれている状況は大学はいりたてでもなんでもないです。表題作の主人公は才能があるとされつつ、のんべんだらりと日常を送っていて、「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」の主人公は失恋のショックから半年ほど大学に行かなり毎日をただ眠って過ごしています。ただ、それまでの立ち行かなくなっていた、進むべきか戻るべきかという状況から、活路を見いだして新しい路を進む様子、そしてそれに至るまでの主人公たちの思考回路(決して暗くは無く、なんとかなるさという楽観的なところがみえる)がそんな瑞々しさをくれたのだと思います。
 この作品の主人公は関西弁で喋っています。関西弁というのは不思議な言葉で、ヤクザなんかが使っているとものすごく怖く思えるのに、可愛い女の子が使っていると、その可愛さを助長するような、そんな働きをします。そんな関西弁伝える登場人物の内面は、とても可愛いのでした。
 余談ですが、どうしても関西弁の男登場人物、特に表題作の主人公は堂本剛でイメージしてしまいます。実写化するならこれ以上の適役はいないと思うのですが。

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫)

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの? (河出文庫)