OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

舞妓Haaaan!!!

 監督水田伸生と脚本家宮藤官九郎が「ぼくの魔法使い」(2003)以来タッグを組んだ作品。
 クドカン作品の特徴として語られやすいのが「男子校的ノリ」だと思うんだけど、それだけじゃない部分もあるんだよな。「ぼくの魔法使い」にも「舞妓」にも共通している出演者は阿部サダヲであるわけだけれども、どちらの映画でもサダヲは女に愛されながらも冷たく当たるようなキャラとして描かれている。けど、ヒモってのともちょっと違うし、男尊女卑とも違う。僕が思うに、「うる星やつら」の諸星あたるがそのまま大人になったらこういった感じになるんだろうなというのを体現しているキャラだと思う。女好きでだらしなくてギャグ担当だからゴキブリ以上に生命力が強くて、だけど憎めない。そんなキャラクター。
 それで、阿部サダヲはやはり脇役俳優なのだなと思った場面がある。サダヲが恋焦がれる芸妓の小出早織から彼女の生い立ちを聞かされ、それをおばあちゃんの吉行和子からけして口外するなといわれ、「ハイ、言いません。てか忘れました。ボク、バカなんで」とギャグなのか本気なのかわからないリアクションを返す場面。ここは明らかに小出を引き立たせる演技をしている。サダヲは灰汁の強さゆえに主役を食ってしまうことが多い役者だけれど、その灰汁の強さがときに強烈な補色となって、小出のようなまだ色がつきかけの役者の色を引き立たせることもあるのだなと感じた。
 てか、この映画での小出早織の役はおいしすぎる。ある意味、堤真一柴咲コウよりも目立ってた。冒頭の高校生サダヲに対して、サダヲがその後のめりこむことになったきっかけとなる舞妓役の演技なんて完璧だし、それからもほとんどストーリーの中核(あるいはシリアスバート)を担っているというべき存在になるし、本当においしすぎる。小出と同世代の女優だったら絶対にこの役がやりたいはずだ。
 考えてみれば、今をときめく女優の蒼井優。あれなんか「リリイ・シュシュのすべて」をはじめとして作品と役に恵まれて、その結果として評価を上げた2005年まで、そしてその結果としての2006年度日本アカデミー賞受賞なんて感じがする。小出もその道をたどるのだろうか。少なくとも今年のキネ旬新人賞なんかはもらいそうなイメージがする。
 なんで蒼井優が思い浮かんだかって言うと、舞妓さんの顔、どこか蒼井優を連想させるからだ。
 それと、この映画での北村一輝は反則だろう・・。