OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ヌードの夜

 石井隆監督映画。1993公開。出演は竹中直人余貴美子根津甚八、椎名拮平など。
 石井隆の作品を観るのは初めて。脚本作品なら相米慎二の「ラブホテル」を観たけど。
 この映画は怖い。東京の裏道をコマネズミのように生きる人々の間の愛憎劇を描いていて、洒落た台詞(竹中の「人殺しの代行なんてやってねえよ」とか)が楽しいのだけれど、とにかくそんな底辺の人々を演じる役者さんが怖い。
 ヤクザ役の根津を余演じるOLが殺すシーンの緊迫感は圧巻だ。余の目の演技がすごくいい。
 まだおもろいおっちゃんになる前の竹中のシリアスな演技もいい。時折台詞が聞き取れないのが難点だが。
 根津を異常なまでに慕う椎名の演技も素晴らしい。てか怖い。余の家を訪ねるシーンなんか特に。激昂する姿が怖い。
 それと長回しを多用したカメラワークもいい。この作品のように緊迫感が全体を支配する作品にはよくあっている。余の部屋で椎名が殺されるシーンなどこういう風にとったかなんて思ってしまった。
 あと、前々から挙げてきたけど、これほどまでに役者の演技の怖さを引き出すのはすごい。竹中の旧友のオカマ役の田口トモロヲは、実はオカマは仮の姿で後で豹変するなんていう役どころなのだけれども、いくら田口に天性の役者の才があるからってこの時点ではまだ元パンクバンドのボーカルに過ぎなかったと思う。それをひきだしたからこそ、今の田口があるんじゃないかと思う。

ヌードの夜 デラックス版 [DVD]

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