OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

青い春

 2002年公開。豊田利晃監督。出演は松田龍平新井浩文高岡蒼甫など。脇役で瑛太や塚本高史も出演。鬼丸やKEE等も出ている。
 自分は一応進学校出身であり、このような工業高校的雰囲気は体験したことないのだけれど、でもなぜだかこの高校のすさみ具合がすごくリアルな気がした。教師たちの人生あきらめてる具合、トイレの狭汚さ、落書の混沌とした感じ、すべてが閉塞的な空気をかもし出している。松本大洋の原作漫画は、最後の一コマは「俺をここから出してくれ」という壁にかかれた落書で終わっている。
 正直新井浩文は苦手な俳優であるのだけれど、でもラストシーンはきっと新井でなければ駄目なんだろうなという気がした。ずっと番格の龍平の2番手で、それがある日を境に断絶して、タクシードライバーのデニーロよろしくモヒカンにして学校に登校し、支配をはじめ、そして一時的にせよ頂点に立ったまま命を絶つ。それも、龍平より上だということを明確に示せる方法で。そしてそのシーンにカットバックされる、2人の出会いと、まだあどけなさが残っていた頃の新井の顔。そして、荒いが飛び降りた屋上に描かれた人体のシルエット。これが龍平の影と並ぶことで、2人の間の複雑な関係性を一瞬にして説明する。見事だと思う。
 それと、音楽。不良映画にthee michelle gun elephantをかぶせると言うのはひょっとしたらギャグにもなりかねないというか、ある意味すごくベタな選曲だ。だけど、冒頭の、屋上から階段を降りてくる龍平たちのがスローモーションになるのに重ねてかかる「赤毛のケリー」を聴いた瞬間にそのカッコよさに震えてしまう。それでオールオーケーになってしまうのだ。でも、新井暴走のシーンでのベンジーは合ってなかった。ベンジーの声は完全に主役を食ってしまうからな。

青い春 [DVD]

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