OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

 庵野秀明総監督のアニメ・新世紀エヴァンゲリオンの12年ぶりの新作。
 自分は2年前に初めて観た、という、言ってみれば後追いのニワカなのだけれども、でもやっぱりエヴァは好きだー、と再実感した作品ではあります。映画が終わった瞬間周りがざわざわしはじめて、客電がついたときに拍手が起こる、なんてのは初めて経験しました。綾波レイのコスプレをして観に来ている人には「うわあ・・・」って思いましたが。
 さて、映画について。
Air/まごころを君に」は呪いだと思っています。悪意、みたいなのはまったく感じないのですが、結果的にどうとでもとれる解釈を最後に置いて、向こう10年の論争を仕掛けたという点で、ファンはこの作品に呪われたのだと思います。
 それで、新作が公開されるということは、「答え」が更新されるということです。あくまでも願望に過ぎないのですが、製作側はこの「呪い」を解きに来たのではないのかと思います。
 なぜそう思うのかというと、自分は撮影技術について詳しいことはわかりませんが、新作を観てよりくっきりした印象を受けたのです。少なくとも前作エヴァは序盤に関しては、ものすごいわかりやすい作品なんですよね。登場人物も少ないですし。それでそこを、特に「ヤシマ作戦」に重点を置いて簡潔に説明を行い、多大なる情報量を込め(特に音の面での情報量は素晴らしい。絶対映画館で体験して欲しい)、エヴァの「更新」をおこなったこと。その気合の入れ方に、「この10年以上続いた議論に決着をつけてやる」という気概を感じました。
 エヴァは未完成な作品です。演出は今見ても新しいですが、破綻をきたして、しかもその破綻がまた面白かったため、議論されることとなりました。たとえば「涼宮ハルヒの憂鬱」あたりは少なくともアニメに関しては完成形に近いため、その演出のすごさについて語られることはあっても、10年以上議論が続くとは考えられません。「新世紀エヴァンゲリオン」は未完成だったからこそ、ファンは未完成の部分を埋めるために10年間言葉と知識を総動員しました。
 だから、まあ、終わり方によってはボロクソに叩かれるでしょうね。ぼくはファンになってから2年ぐらいしか経ってないので、その意味では幸運なのかもしれませんが、12年待った作品の期待度がどういうものなのか、まだぼくには見当がつかなかったりします。
 ただ、あるいは歴史が変わるかもしれない、その瞬間をとくと見届けたいと思います。