逆噴射家族
1984年の映画。監督は石井聰亙。出演は小林克也。倍賞美津子、有薗芳記、工藤夕貴、植木等。
内容は、念願のマイホームを手に入れた小林家、しかしそこにある日小林勝国(小林克也)の父寿国(植木等)が転がり込んできた。寿国のことをよく思わない家族たち。ある日勝国は部屋のない寿国のためにリビングの床を壊して地下に部屋を作ろうとする。しかし、水道管を壊してしまったことから、事態は思わぬ方向へと進む。
時折原案を担当した小林よしのりの絵が思い浮かぶシーンがあるのがうれしいところ。とくに有薗芳記演じた受験ノイローゼの浪人生正樹、軍人としての記憶を取り戻した後の寿国なんてのは、そのまま小林漫画に出てきそうだ。
最初のあたりは勝国に同情して、母親の冴子(倍賞美津子)がリビングに寝ていても自分の部屋に入れようともしない娘のエリカ(工藤夕貴)や、些細なことで「うるさい」と怒鳴り込む正樹あたりに憤慨を覚えたりするのだけれども、次第に勝国の行動がわれわれのあさっての方向に飛んでいく。そして、家族での殺し合いが始まったころに気づく。この家、マトモなやつは一人もいない。
そして、バトルロワイアルを先取りしすぎたような、放送禁止用語飛び交う家庭内バトロワシーンでは、はっきり言ってそんじょそこらのホラー映画にも勝るとも劣らない完成度を見せている。ただ、この辺のシーン、暗くて何やってるのかわからない場面が多々あるのが惜しいところ。
そして事態は収束を見せ、迎えた朝。朝ごはんを囲む家族に、チェーンソーを持ち出す勝国、何をしだすかと思えば、家を解体するではないか。この、山本直樹の「ありがとう」や映画「幸福な食卓」をあまりにもファンキーな形で先取りした展開では、観客の気持ちを代弁する焼くとしてエリカを置き、不思議な爽快感をかもし出している。
けど、この映画以降、本当に人って自分のことしか考えなくなった。この時期に青春期だった1960年代生まれの、当時の流行語で言えば「新人類」を自分のことしか考えない人々と、小林克也演じる父親あたりの団塊の世代を過干渉する人々とし、その対立を実際的な暴力で表現しているのだな。無論そんなことを考えなくても楽しめるのだけれど。
絶対ありえないが、地上波放送されるようなことがあれば絶対2chで実況してみたい。
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