筒井康隆「心狸学・社怪学」
10月から12月にかけての季節はなんだか終末観が漂っている。個人的に、この終末観は自分が何らかの問題を抱えているときには逃げ出したくなるくらいいやなのだけれども、特に何の問題も抱えていないときには本や映画などに触れたときに感じるものとして大好物になる。
筒井康隆の1969年発表の短編集。
あまり明るくない未来のSFって感じですね。技術の進化は人をシアワセにはしないよーみたいな厭世観があります。「ナルシシズム」でメイドロボットに殺される主人公など、終末観の象徴みたいなものですが。あと、「フラストレーション」で時代に振り回されて1000人切りを達成する主人公なんてのも、ひとつの時代の終わり、女性不信、実験性などが組み合わさってできた好短編だと思います。
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1986/03
- メディア: 文庫
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