鬼頭莫宏「なるたる」
鬼頭莫宏はかなり斬新な考え方を導入したと思う。
それは、命は代替が利くものだ、ということだ。
「なるたる」と同じ雑誌で連載された「寄生獣」は漫画史に残る傑作だと思う。けれども、作者が作中で出した問題に結論が出せているかは疑問だ。最終的に「私」と「あなた」の間の問題になっている。ヒューマニズムの限界だ。
「なるたる」は、勝手に考えるなら、その問題に対してヒューマニズムの垣根を取っ払って、「人間」と「それを害するもの」の問題として最後まで描ききろうとした。結果、構造は非常に複雑になってしまったのは作品上の欠点だ。また、徒に衝撃性を狙った展開も腑に落ちない。
だけど、ぼくはこの衝撃的とも言える最終回は評価したい。
スケールの大きさを保ったまま、絶望の果てに見える希望を描いた最終回だと思う。これもまた、漫画史において残さなければいけない作品だと思うのだが、現在の立位置からみると一過性のものとしてとらえられるのだろうか。
それと全体的に感じる夏の雰囲気がいいやね。
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