OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ノー・カントリー

 コーエン兄弟の映画。
 いわゆるクライムアクションで、たまたま銃撃戦跡で大金を拾ったばかりに殺し屋に巻き込まれていく男を描いているのだけれど、あの殺し屋の空気ボンベはマジで痛そうだ。鍵穴がはずされたときは泣きそうになる。時代設定は1980年。
 自分は、この作品に失われたアメリカだのなんだのをかんじとるほどの教養はないので、その辺は理屈だけで映画を語るような某ブログにまかせとくとして。
 序盤で凄惨な現場を見せられている分、後半は直接的な描写はぐーっと減るわけですが、後半に行くにしたがって絶望感が濃くなってくる、そんな感じがしました。
 殺し屋の男は自分の論理で動いていて、その論理を汚した、だから殺されるというこちら側の人間から見たら理不尽な理由で殺されていく、しかも圧倒的な力があるから法律も何も通用しない、そんなモンスターをもし相手にしてしまったらと、恐怖というよりも絶望が増していくような展開。ラストで観客に「正義は勝つ!」なんて思わせるも、結局そう思い通りにはならず、カタルシス否定。
 どよーんとした気分を背負ってふらふらと映画館を出た。ただ、強烈な罪のパワーに当てられてしまった気がした。