OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

闇の子供たち(阪本順治)@桜坂劇場

わりと満席だった。お客さんは主婦層が多かった気がするが、ヘビーな場面が多く、泣く声や軽い悲鳴があがっていた。
僕はあまり集中力が高いほうではなく、映画など最後まで時計を見ずに観られたことはほとんど無いのだけれど、これはその数少ない例のひとつだった。阪本順治監督の撮る絵は決して美的に優れているわけではないのに、なぜか目が離せなくなる。おそらく、普段私たちの目につかない(隠れている)ものを撮るからだろう。妻夫木聡演じるカメラマンの青年は監督の代弁者なのかもしれない。
NGO宮崎あおいがあまり考えの足りない正義感を振り回すシーンは「踊る大捜査線」など、日本のドラマによくみられる展開ではあるけれど、どうにもならないやりきれなさが伝わってきてよかった。
終盤は物語への欲求をこれでもかってくらい満たしてくれる展開。今まで信じてきたものがどんどんひっくり返されて、釈然としないものを観客に残したままにする。オチはつけるが、決して観客の望むものではない。ずーんとしたものを感覚的に遺す。そんな映画。