OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

とらドラ!

(※注:ネタバレ含む)

 ライトノベルが原作のラブコメアニメ。

 この物語は主人公・高須竜司とヒロイン・逢坂大河がたがいに別々の相手が好きで協力し合う互助関係、というのが初期設定となっているのだけれど、中盤くらいから怒涛の展開を見せる。

 それで、個人的に印象に残ったのは主人公・高須竜司から思いを寄せられる櫛枝実乃里というキャラクター。

 学園祭の時に丹下段平のコスプレをするようなアホキャラという設定だったのだけれど、次第に高須に惹かれるようになり、けれどその頃親友の逢坂も高須に惹かれ始めているため、身を引くか引くまいかの間で揺れる。
 
 普通の、この手の作品だったら、初期設定で決まったキャラは最後までそのままだ。だから、最初ギャグキャラとして出てきた櫛枝が、シリアスキャラとして物語に深くかかわるようになったのは非常に異質だったし、個人的にも思い入れが深かった。

 この櫛枝の様相を通して描かれるのは、道化を演じていた人間が恋に落ちるとどうなるか、だ。

 道化を演じる人間って、早い話が周りの人の要求にこたえようとするあまり、その答え方があまりにもいびつな形容になってしまったため、そうなってしまっただけであって、根幹の部分には「他者への気遣い」がある。
 どこかの不倫をしていたミュージシャンも歌っていたけど、恋愛はエゴとエゴとのぶつかり合いだ。だから、「他者への気遣い」という能力がいびつに成長してしまった人間にとって、それは苦しみとなる。
 そうなると、道化を演じていた人間が恋に落ちるとどうなるか?
 答、暴走する。

とらドラ!」という物語の後半は、櫛枝の暴走に多くが割かれている。
 櫛枝は、思い人や親友の気持ちから逃げ、逃げ、逃げ最後には向き合った。自分の葛藤や迷いをありのまま高須に告白した。不器用でまっすぐな方法で。
 この時点で、俺にとって櫛枝は単なる萌えキャラじゃない、戦友みたいなものになっていた。

 だから、ネット上とかで櫛枝を批判している人間をみるとムキになって言い返そうとしてしまう。大人げないとはわかっているけど。

とらドラ! Scene8 (初回限定版) [DVD]

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