地下鉄のザジ('60/ルイ・マル)
1960年のフランス映画。
内容は、地下鉄に乗るのが楽しみで出てきた少女ザジがパリの街で引き起こす大騒動。といった感じであらすじはあってないようなもの。
とにもかくにも、実験精神あふれる映像が面白かった。
特に、ザジと紳士ペドロがパリの街を縦横無尽に駆け巡る追いかけっこ。まるでトムとジェリーを見ているようだった。
この追いかけっこ以降はどんどんストーリーが破綻してくるため、ちょっと楽しむのに根気が必要になるけど・・・。
同じ役者さんが別の役で登場するかと思うとやっぱり同じ役だったり。
唐突にドイツ3人娘が現れて主人公の叔父さんにつきまとったり。
延々とらせん階段をおり続けていたり。
あげくの果てにパーティーはハチャメチャになって、それでもザジは眠り続けていたり。
それで、ふと思ったこと。
序盤に主人公の叔父さんがパリの民衆に向かって汚らしいと言い放つ場面がある。
パリで浴槽が完備されている家は11%。残りは周りに気を遣う意志もない輩だ、というような意味の言葉で。
勝手な印象なのだけれど、フランスの芸術って、ものすごく上品な部分とものすごく下品な部分がいっしょくたになっているところがある。
このザジも、最初のうちは笑ってみていられるけど、最後まで見てなんだか胸やけを起こしそうになる(ヤン・シュヴァンクマイエル版『不思議の国のアリス』のように。あれよりはマシだけれど)。
ただ、やっぱりパリってお洒落だなーと思うのも事実。
この、上品と下品がまじりあい具合がフランス映画は面白さなのかもしれない。
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