ミーン・ストリート('73/マーティン・スコセッシ)
ニューヨークのイタリア移民街におけるギャングの若者たちを描いた群像劇。
何というか、永遠に若い映画だなーと感じた。自分はまだ20代なので楽しめる。30代でも楽しめると思う。しかし、歳をとってこの映画を観ている姿がまったく想像できない。
暴力シーンに甘いアメリカンポップスを被せたりというスコセッシ監督特有の演出が冴えわたっていた。
特筆すべきは、ロバート・デ・ニーロ演じるジョニー・ボーイ。名前にボーイとついているように、子供がそのまま大人になったような男。年齢は明示されていないが、当時のデニーロの年齢から考えると30前後といったところだろうか。彼に振り回されるのがハーヴェイ・カルテル演じるチャーリー。彼は善人ではあるものの、自分の罪が許されていないという強迫観念から時折炎に手をかざすなどの自傷行為に走る傾向がある。ジョニー・ボーイの面倒をみるのもその一環。
映画の前半は少々退屈だった。チャーリーやジョニーの周辺人物を描くのが中心だったから。それでも、ビリヤード場での乱闘など見所は多いが。しかし、チャーリーとテレサ(エイミー・ロビンソン)との愛の語らいを境に後半に入り、ストーリーは大きく展開していく。
前半では借金まみれの愛すべきクズだったジョニーだが、ここにきて彼の無邪気さはそれゆえに大きな罪となってくる。きっとデ・ニーロは子供のように演じろと言われていたに違いない。それくらい、ジョニーの世界には自分しかいない、他者がいない。「反省」の二文字はない。なぜなら子供だから。悪意がないからこそ、チャーリーが、そして観る者が感じる苛立ちはどこへも行けない。
そして当のチャーリー、周りにひたすら振り回されるチャーリーには自我がない。必死に取り繕っているけれども、結局誰も得をしない。
皮肉にも、どちらにも悪意のないこの組み合わせが最悪のコンボ。そのことに気づかされていくのが後半の展開。
徐々に蓄積されていった緊張が、後半のあるシーンで爆発する。すごく殺伐としたシーンなのに、ゆったりと流れるイタリア語の曲が対照的でなにかから解放された気分になる。
あなたの周りにもジョニー・ボーイはいるかもしれない(ここまでひどくないだろうけど)。そんなチャーリーなあなたはきっと観たほうがいい。
それとイタリアン・マフィアのスーツってすごくお洒落だなーと思った。黒地に白のストライプのセーター(?)に黒いコートとか最高。
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