OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

シーサイド・モーテル('10/守谷健太郎)


2011/2/28鑑賞

DVD



※ネタバレ含む



 ひどくつまらない。

 まず、古田新太の奥さんが最後まで本当に死んだままだったことにびっくりしたよ!
 こっちがらみのシーンが本当にひどくて、古田新太がらみのエピソードって、山田孝之が窓の外を通る男について賭けをする シーンに使われるためだけに用意されたという気がするし、しかも、その賭けも唐突過ぎてオチが読める。完全にidiot plotになって しまっているんだよね。



 麻生久美子演じるコールガール・キャンディがらみのシーンは、きっとビリー・ワイルダー風のロマンティックコメディやりたいんだろうなあというのが伝わってきたけど、イマイチ感情移入するヒマもない。最初でキャンディの悪女ぷりがアピールされているから、 多分、麻生久美子さんに思い入れがない人にとってはひどいものになっていると思う。
 とはいえ、僕は麻生久美子さんの正しい使い方と思わざるを得ませんでした。麻生久美子さんのビッチキュートっぷりはいいですね。


 この作品。役者の魅力に頼りすぎじゃないのかな。麻生久美子さんと柄本祐さんとか。

 古田新太温水洋一の使い方は食傷気味で何の工夫もない。

 柄本さんも、魅力に助けられているけど、人物の描きこみが浅くて、ピストルを向けるシーンが唐突なんだよなあ。


 その山田孝之からみのエピソードは、あの死んだふり、絶対ばれると思う!という致命的な欠陥がある。
 成海璃子さんは最近安定的に良いだけに残念。



 あと、山崎真実池田鉄洋のエピソードは完全に不要。なんであれ入れたの?
 池田がギックリ腰になって救急車呼び、それをパトカーと勘違いした玉山が山田を殺す、ってことで繋がるんだろうけど、 つまりこれって山田にとって計算外のラッキーだったってことよね。池田がギックリ腰にならなければ計画倒れになったってこと?


 あとあと、キャラクターに不自然な方言使わせるのがイライラする。


 伏線のための伏線になっているせいで感心することもないし、物語的にもだんだんどうでもよくなってくるんだ。

 山田孝之エピソードでちょっと工夫が見られたが、前述の矛盾、それに人によってはidiot plotになりかねないため、稚拙。
 このとおり、登場人物が完全に駒になっていて、そこに愛がみられない。


 キャンディが最後に事故ったのも意味不明。とりあえず物語に参加させておこうといった感じか?
 だったら、クラゲゼリー売ってる2人の前に現れて、「ひとつ下さいな」くらい言わせてもいいでしょ。
 あれがあったら、他の部分がダメでも余韻と麻生久美子さんの笑顔でチャラになったよ。
 キャバクラのシーンをラストに持ってくるセンスは頭を疑う。
 観てる時は気にならなかったけど本当にひどいな。これ。
 そこそこ観れそうな外観をしているだけに悪質だよ。
 まあ、ファンタジックなモーテルの雰囲気と、夏の感じ、だけは少しは評価できるかな?



 追記:内田けんじ作品観た時に、人が死なないのがちょっと不服に思ったけれど、殺せばいいってもんじゃないことの証明に なったという意味では、少しは有意義。
 この手の伏線コメディでは避けがちな死とセックスを描いてはいるが、本当に描いただけでそこに意味とか感じられないので、結果単なる異物にしかなっていない。




追記2:ただ、鑑賞してから1日たったけど、なぜか頭から離れない作品。
麻生久美子さんの魅力と、あの「夏のぬけがら」感がそうさせているのかも。
 ちなみに、沖縄では今年最初の夏らしい熱さを感じる気候になっていた。



追記3:最初観た時には結構酷評したんですけど、やっぱり僕この作品好きかもしれないな。

 追記2で書いた理由は結構大きかったかと思います。


シーサイドモーテル [DVD]

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