OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2011年鑑賞映画ベスト10&ワースト5

 それでは、ベスト10とワースト5については改めて書いて観たいと思います。



10位「A Crazy Little Thing Called Love」(Puttipong Pormsaka Na-Sakonnakorn and Wasin Pokpong監督)



 沖縄国際映画祭で観たタイのラブコメ映画。Laugh部門海人賞グランプリ受賞作。

 沖縄国際映画祭というと後ろに(笑)がついてしまう印象が強いけれども、これは結構なめっけもんだった。

 80年代角川映画の継承者がタイに現れた!しかも、『マッハ!』等の作品の持つ過剰なエネルギーをラブコメ方面に注ぎ込む形で!

 10位というのは本当は底上げしている感があります。明らかにダメなポイントも見受けられますし、僕は未だにこれがタイの恋空ではないという保証はないと思っています。けれども、それを改めて確認するには日本公開されないことには始まらないので、アピールする意味もこめて、ここに。



9位「塔の上のラプンツェル」(バイロン・ハワード監督)



 ディズニー最萌クイーン・ラプンツェルたんの冒険活劇ミュージカル!

 エンターテイメントとしての完成度だけならベスト10中随一かもしれない。密かに、大震災のあとの終末観が漂っていた空気を和らげる役割を果たしていたのではないかとさえ思います。



8位「BIUTIFUL ビューティフル」(アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、ハビエル・バルデム出演)



 スペインのバルセロナを描いた考えさせられる映画。貧困層の生活がこれでもかというくらい精密な描写で描かれている上に、ストーリーにも救いがないため、劇薬ともなりかねない映画だと思う。

 映像も美しいのだが、終盤に「ああ、もうこれはだめだ・・・」という今年観た映画の中で一番絶望的なシーンがあり、それがとても印象に残っています。



7位「その街のこども 劇場版」(井上剛監督、森山未來佐藤江梨子出演)



 NHKで放送された神戸大震災をテーマにしたドラマの劇場版。主要な登場人物は2人しか出てこない作品で、時折ドキュメンタリーにも思えるようなリアルな瞬間を感じることができた。とにかく、台詞が自然で、かつはっとさせられる。相当巧みな脚本ですよ、これ。

 僕はドラマ版モテキを観た後にこの映画を観たため、森山未來の演技のレングスを改めて確認した。 異なるベクトルの厭な奴をうまく演じ分けていたと思う。



6位「くまのプーさん」(スティーブン・アンダーソン監督)



 観ていてすごく気持ちのよかった映画だ。100エーカーの森に行きたくなる。この気持ちよさというのは幼いころに絵本を読んでもらったような感覚に近いのではないかと思いました。



5位「ふゆの獣」(内田伸輝監督、加藤めぐみ、佐藤博行出演)



 約100万円ほどの予算で撮られたインディーズ映画。登場人物は4人だけなのですが、ほぼ即興に近い演出と、いわゆる「修羅場」の凍るような緊張感が印象的でした。

 キングオブコメディパーケン似の男の存在感かつ実在感には恐ろしいものを感じた。



4位「モテキ」(大根仁監督、森山未來長澤まさみ出演)



 この映画については『映画けいおん!』と同じく、映画としての愉しみ方以上のものをしていた気がする。かかっている音楽もどんぴしゃで、長澤まさみのキュートさも見事!

 はっきり言ってこの映画を好きということは若干の恥ずかしさが伴う。ここに出てくるサブカルアイテムの数々は、僕にとっては決して本物にはなれない自分の一部にしか思えないのだ。けれども、好きとそのことを認めたくない気持ちに揺れ動く意味でも、今年一番ハマった映画であることは間違いない。



3位「冷たい熱帯魚」(園子温監督、吹越満、でんでん出演)



 実際にあった事件をモチーフにした映画。

 とにかくでんでんの演技が印象的で、確かにこんなオッサン会ったことあるけれどもしこんな奴だったら俺も透明にされてたのだろうか、なんて思った。でんでんは夢に出てきてうなされた。



2位「ブラック・スワン」(ダーレン・アロノフスキー監督、ナタリー・ポートマン出演)



 衝撃的な映画でした。

 ニナは俺なのだ。ニナという女の子は外部からの評価がそのまま自己評価になっている(だからこの映画には鏡がたくさん出てくる)。そんなニナが奔放な演出家やダンサーに影響を受けて、外の世界へ羽ばたいていく様を描く。僕には、他人には思えなかった。



1位「メアリー&マックス」(アダム・エリオット監督)





 『アメリ』のテーマを突き詰めたらこういった感じになるのではないかと思った。

 これも『ブラック・スワン』同様、僕にとっては全然他人事に思えない映画だった。自らの抱えるコンプレックスといかにつきあっていくか、というテーマをきちんと描いていた。

 『Que cera, cera』のかかる終盤にかけては近くに座っていた人に明らかに怪訝な思いをさせるほどに号泣してしまいました。アダム・エリオット監督の弱き者を見つめる視点の優しさは素晴らしいものがあると思います。レンタルも出ているので是非!



 では、ワーストの方も。

106位『ハートの国のアリス』

 声優が豪華キャストなので観に行ったが、明らかに説明不足。

 そして、ラストの処理がひどい。これはアニメファンの悪い傾向を現しているように感じた。



107位『ワラライフ!!』

 テーマは決して悪くないものの、一番このテーマを描いちゃいけない人が描いちゃったよ!



108位『プリンセストヨトミ』

 いろいろ破綻している。観ていて怒りがわいてきた(観なきゃよかったと思った)度でいうと一番かもしれない。



109位『セカンド・バージン』

 2011年度シネマハスラーランキングワースト作品。空虚な生活を描いた作品を観ていると、自分の生活を否定されたような気になるのだなと感じた。死んだ目で。



110位『落語物語』

 これ、逆にみんなに観てほしいんだけれども。映画を構成する要素のすべてが間違っている作品。これを観れば逆説的にいい映画とはなにかわかると思う。



 以上です。

 来年はもう少し観る量を減らしたいです。