アップサイド・ダウン:クリエイションレコーズ・ヒストリー(★★★★☆)
2012/1/7鑑賞
@桜坂劇場Cホール
1980年代〜90年代まで、イギリスのいちインディーズレーベルから始まって世界のミュージックシーンを牽引するまでに成長したレーベル・クリエイションレコードを描いたドキュメンタリー映画。
僕はこの時代のイギリスの音楽が好きで、どちらかといえば入門編的立場というか理解を深める目的で観に行った。
やはり映画館の音響で聴くジザメリやマイブラ、ライド、オアシスなどは最高だった!
全体的に懐古性の強いドキュメンタリーなのだけれども、構成に面白い点があると思う。
序盤、とにかくこれでもかってくらい情報をつめこんだ編集がいいなと思ったわけ。インタビュー映像を矢継ぎ早にカットアップしていて、すごく走っている感じがした。まさにその時代の熱気を伝えていると思った。
しかしながら、このテンポが終盤まで続くため、逆に一本調子で飽きてきたのも事実。ただ、クリエイションレコードの歴史を不足なく語るためには、確かにこのテンポで処理するしかなかったのかなと、最後まで観た今は思う。
あと、この一本調子さが逆にドライな印象を残し、それが不思議な余韻を呼んでいた。
特に1990年前後の状況は面白かった。僕も愛聴しているアルバム(特に『ラブレス』)の製作秘話なんか、確かに別の個所で聴いた話ではあるんだけれども、すごく興味深かった。当時のクリエイションレコード代表取締役アラン。マッギーはドラッグにおぼれている状況で、それは明らかに会社に影響を及ぼし、いち社会人の目から見るとこれで経営が成り立っているのが奇跡というほかにない。
しかしながら、彼がその一方でアーティストたちの才能を見抜き、彼らの思うがままにアルバムの制作を行わせたからこそ、ロックシーンに燦然と輝く名盤の数々が生まれたことは否定できない。
ロックの歴史においてこういった感じで世界を巻き込むようなムーブメントってもう起こらないんじゃないかと思う。オアシスでとどめをさされたのだ。
逆に言えば、これだけの状況でもどうにか経営破たんを起こさなかったクリエイションレコードが、かつてないほどの成功を手にした途端に終幕を選ぶというのは、実はすんなりとは理解できなかった。
或る意味、この映画は供養のようなものなのかもしれない。
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