戦火の馬(★★★☆☆)
2012/3/8鑑賞
@シネマQ
スティーブン・スピルバーグ最新作。
理屈ではかなり好みの作品だとわかっているのに・・・、というのがこの作品の印象。
全体をとおして僕が連想したのは、矢野絢子の『ニーナ』という楽曲だった。
椅子を巡り周囲の人の思いが浮き彫りになるストーリー。戦争という大きな時代の転換点における人々の思いを、物言わぬ馬に託す構成は見事だと感じた。
何よりも、映像が素晴らしい。圧倒的だ!僕はこの夕暮れを見るために映画館に通っているのではないのかと思ったほどだ。それくらい、映画的な作品だ。
ただ、思うに、物言わぬ馬に情報を託すストーリーに、この音楽はちょっと雄弁すぎないか?
これだけの映像と演出があれば、音楽は控えめでもよかったのではないかと思う。
そうでなくても、後半には感動的なエピソードがつるべ打ちでやって来るわけだし。
後の方に行くに従って情報過多になっていくから、僕は中盤の後らへんに位置するあの「奇跡」が一番好きだった。
ああ、それと、主人公の父親がやらかしたあやまちに対し、何らかの処罰を受けていないのは気になった。
ただ、もっと精神状態が上向きの時に観たら、高評価を下せるのだろうなと感じた。
それが、今の自分には悔しくもある。