OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ヒューゴの不思議な発明(★★★★☆)


2012/3/18鑑賞

@シネマQ



 マーティン・スコセッシ初の3D映画。じつはちゃんとスクリーンでスコセッシ作品を観るのは初めてでした。



 ぼくが物心ついたころにはすでにスコセッシは大作路線に移行していた。

 個人的には『ミーン・ストリート』や『タクシー・ドライバー』が好きなのだけれども、その頃のスコセッシと近年のスコセッシ作品がどうしてもうまく結びつかなくて自分の中で消化不良を起こしている、というのが正直なところ。



 さて、この作品。ぼくはかなり感動しました。ぶっちゃけ泣きました。

 でもこれ、スコセッシと言われなかったら気づかないレベルだと思う。

 もともとスコセッシの映画って、この人きっと人間が相当嫌いなんだろうなー、というのが感じられて、それが終盤どちらに転ぶかわからないスリリングさが魅力だと思うんです。もちろん編集や演出の妙も加えて。

 この作品内で人間嫌いといえばジョルジュ(ベン・キングズレー)に集約されるわけだけれども、ストーリーの展開上、彼がスコセッシの心情を担っているのかな、とか、これはスコセッシ版『ビッグ・フィッシュ』('03)なのかな、とか(ティム・バートンの方がキャリア的にも後発だけど)思いました。



 細かい点ににツッコミどころはあるけれども、観客を惹きつける力のある作品。

 3Dで発表する意味もきちんとある。映画の中で汽車がこちら側に走ってくるのを映画館で観て逃げる観客がいるように、3D興行が実は映画の本質的な部分を突いている点を指摘しているので。



 ただ、近年のスコセッシ作品最大のノイズってやっぱりその監督名なのかな、と思った。

 とにかく126分楽しませてあきさせない作品ではあるが、後には何も残らない感がある。