ピープルVSジョージ・ルーカス(★★★★★)
2012/8/3鑑賞
DVD
沖縄では公開されなかったためDVD鑑賞。
世界的有名作『スター・ウォーズ』の監督ジョージ・ルーカスとそのファンを巡る愛憎入り混じる状況を描いた異質のドキュメンタリー。
ぼくは実はスター・ウォーズ弱者で、エピソード4だけしか観ていない。
おそらく、自分が映画に求めるものとスター・ウォーズが提示するそれが違うのではないかなあと思っていたのだけれども、この映画を観ると、やっぱり「スター・ウォーズって面白そー」って思ってしまうのだよね。
特に『STAR WARS EPISODE I/ファントム・メナス』('99)公開時の熱狂に関しては、映画史上これほどまでに期待された映画はないだろうなと、この熱狂を共に楽しめないことを悔しく感じた。
ただ、いざ上映後のテンション駄々下がりの様子は、確かに笑える。
でもね、こういった体験も含めて映画なのだ。
ぼくでいえば、去年映画単体を超えた映画体験として印象に残ったのは『モテキ』('11)と『映画けいおん!』('11)だったわけだし。
また、アマチュア編集者の存在や、二次創作の多さ(とそれを容認するルーカス側の姿勢)などを観ると、これだけスター・ウォーズが熱狂的なファンを呼ぶのは、一種のほつれの存在があるのかなと思った。完成度が高いわけではなく、欠点も多いもののそれを上回る熱量が存在するため、ファンがそれを補完したくなる。
しかしながら、当のルーカス側が次々と過去作を書き換える姿勢は確かに到底許されたことではない。
当時の技術で再現ができなかったというエクスキューズがあるが、ぼくが思うに、ジョージ・ルーカスにとって『スター・ウォーズ』は青春であり、青春において悔いが残ったことを書き換えることが可能な立場を手にしたからこそ、そのような行為を行うのではないかということだ。
だが、誰も青春を書き換えることはできない。
リドリー・スコットやテリー・ギリアムだって劇場公開時から書き換えを行うことはあるが、彼らは書き換えを行った後のバージョンと劇場公開版を並列して販売することでフェアネスを保っている。それに、正直どちらも劇場公開版のほうが評判が高いし。
ただ、彼を過去の書き換えに向かわせるそのくらい情熱はいったいなんなのだろう。
そんなことも考えさせられた。
スター・ウォーズファンでなくとも、何かを強烈に好きになったことのある人間は是非観た方がいい映画です。