仮面ライダーフォーゼ THE MOVIE みんなで宇宙キターッ!(★★★★☆)
2012/8/6鑑賞
@シネマQ
ぼくは仮面ライダーに詳しいというわけではなく、とりあえず幼少期は仮面ライダーBLACKを観て育ったのと、あと2007年に『劇場版 仮面ライダー電王 俺、誕生! 』
を劇場で観たのと、『仮面ライダーW(ダブル) FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ 』
をDVDで観たのと、それと去年『仮面ライダー×仮面ライダー フォーゼ&オーズ MOVIE大戦 MEGA MAX』('11)感想
を書いたのと(よかったら読んでくださいね)、それくらいの距離感です。仮面ライダーフォーゼ本編も観ていません。ただ、相当エンターテイメントとしての完成度が高いという認識があります。
MEGA MAXを観た時に、坂本浩一監督はおそらく今日本でいちばん熱いアクションが撮れる監督だという認識ができたので、シネマハスラーで課題映画にもなったことだし、期待を込めて観に行こうと思いました。
★の数は一緒なんだけれども、個人的には若干MEGA MAXのてんこ盛り感にはかなわなかったかなといったところ。ただ、十分エンターテイメントとしては面白いの領域に入っていました
まず、今回初めて気がついたのだけれども、フォーゼの脚本を担当しているのは『劇団新感線』の中島かずきだということで、ぼくは彼の作品だと『天元突破グレンラガン』('07)というアニメを観たことがあったので、その作家性に思いをはせながら観ることができた。
つまり、ライダー部の面々の過剰な演技、ひいては仮面ライダーフォーゼという作品全般にわたるトーンというものは、アニメのそれを持ちこんだ結果である。特に「キターッ!」が口癖のヒロイン・城島ユウキというキャラクターにそれは顕著で、グレンラガンのニア・テッペリンを連想した。
あとは、今回の劇場版ゲストキャラの原幹恵。いいですねえ、と思わず山本晋也口調になってしまいそうなほど。キャラクターとしてのこの映画内における葛藤をになったキャラとしておいしいし、何よりも彼女のバディ!バディ!バディ!
いやー、子供には原幹恵は早すぎるんじゃないっすかねえ。
冗談はさておき、彼女は『キューティーハニー THE LIVE』('07-08)にてアクション経験もあるため、坂本演出になじんでいた。
さて、肝心のアクションについて。
坂本浩一のアクションはとにかく情報量が多く、人は許容できない情報に触れたときに快感を得るというが、まさにそれがあると思う。CGを多用していながら、カンフー系のアクション系譜を汲んでいるというのもいい。
終盤のバトルで一瞬グレンラガンを思い起こすシーンがあった。足がドリルになってたし。
あとは、序盤で「機械ともダチになってやる」と豪語した如月弦太郎は、確かに今こういった熱血キャラを中心に添えるとリアリティが欠如するおそれがあるのだけれども、それでも役者の演技と全体のテンションで許せる範囲になっている。
彼とXII-Vの友情パートは泣けた。
ただね、終盤、敵を打ち破る論理として、いわゆる元気玉展開が出てくる。その中できっと今までこの仮面ライダーフォーゼというテレビシリーズを観てきたファンならぐっとこないわけはないだろうなという展開も来て、これもわかる。
あと、若干この仲間を探すシーンや、ボタンを押すシーンが演出としてもたついた印象があるけれども、これは逆に演出のもたつきが思い入れをさらに増す結果になっているのがわかる。
ただ、このシークエンスで出てくるのが、結局舞台となっている天の川高等学校の面々に限られているのが、すごくこのシリーズの限界を示しているように思えた。
話のスケールが宇宙まで飛んで、そして地球の存亡がかかっているのに、その解決が学校の中だけで完結してしまうのが残念だった。