OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

この空の花〜長岡花火物語〜(★★★★☆)

2012/9/29鑑賞

下高井戸シネマ



 沖縄でも公開予定が立ったものの、一足お先に拝見。



 実は、呑みこめないものが残った作品でもある。



 この映画は例えばテロップを多用していたり、登場人物がひたすら解説したりと、従来の映画様式とはまったく異なる手法がこれでもかと160分間連続する。

 だから、はっきり言って一回見ただけじゃ理解できません。



 ただ、この映画のメッセージをざっくりまとめるとこうだ。

 関係のないことなんてない。



 実際問題、テレビのニュースでやっていることを自分の身近に感じることなんてあまりない。一応は平和に暮らしている私たちだ。ぼくは特に被災地から最も遠い都道府県に住んでいることもあって、感じることは少なかった。

 けれども、大林監督はそういった無関心な心に関心を持たせるため、ありとあらゆる手をつくす。そのために必要なのは何か?

 それは、論理性だ。



「俺たちの雑学にも筋道が必要だな」

 ご丁寧にもテロップ付で語られるこのセリフのように、この映画ではまず大きく言えば「長岡花火」と「広島に落とされた原子爆弾」に関連性があること、そこから枝葉を広げていき、パールハーバーから東日本大震災まで、決して無関係ではないことを主張する。



 正直に言えば、若干こじつけに感じなくもないし、論理としてももう一つ突き詰めてほしかった印象は残る。例えば、昭和40年代の生活で十分だという主張は判るけれども、それははたして実現可能なのかというところにまで踏み込んでほしかった。

 だが、こういった批判が成り立つのも、それだけの責任感をこの作品が担っていることの証左に他ならない。大林監督が言っていた通り、この映画は「論文」なのだから。



 改めて意識することの少ない戦争や平和について、どのニュース番組よりも熱く伝えている。

 戦争を乗り越え平和を手に入れるために必要なものは「想像力」である。



 必ず、もう一回、二回と観ていきたい。