TOWN AGE/相対性理論(2013)
心霊現象をシュミレーションしてみた
相対性理論の3年ぶり4枚目のアルバム。
この3年の間に相対性理論はリズム隊が脱退しており、そのこともあってか、パブリックイメージとしての相対性理論を外側からなぞったような印象を受けた。
もちろん、やくしまるえつこのフィクショナルなウィスパーボイスは健在だし、相対性理論の個性は保持されている。良くも悪くも、変わっていない。
だが、その分、前作『シンクロニシティーン』(2010)まで相対性理論が描いていた比例直線の上には無いような気がしてしまうのだ。
この、失われてしまったものを埋めようとしている行為が、幽霊を思い起こさせた*1。正直に言えば、昨日からずっと相対性理論のことを考えているのも、その失われた空白があってのことだ。もし狙っているのならすごい。
ここからは完全に個人的な自分語りに入るので読む価値なし! あとは自分の耳で聞いて判断してください。
- アーティスト: 相対性理論
- 出版社/メーカー: みらいrecords
- 発売日: 2013/07/24
- メディア: CD
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やはり、3年前と今とではいろいろなことが様変わりしてしまったことが大きい。
思春期の頃から何度も音楽や映画等に関する考え方のパラダイムシフトを経験してきた。ただ、相対性理論に関しては、その意味合いが強すぎる。
映画『モテキ』('11)の影響も大きい。あれで自分の中の「サブカル」に一回決着がついた。それに加え、ぼく個人を取り巻く環境の変化。
M-7「ジョンQ」という曲に挟み込まれた「結婚しよう」というフレーズ。自分の身の回りで結婚していく人が多い中、ぼく自身は未婚だがそれでもあの頃とは色々変わってしまったことを、そのフレーズは思い出させた。この痛々しさは、山内マリコの小説『ここは退屈迎えに来て』に通じるものだ。
一方、相対性理論はなるべく変わるまいとしている。確かに、このアルバムを聞いていれば「ハイファイ新書」とか「シンクロニシティーン」を聞いていた頃の気分に戻れる。でも、それは俺にとって、クレヨンしんちゃんの映画に出てきたオトナ帝国みたいなものなのだ。
多分ぼくはこのアルバムをあまり聞かないと思う。つらくなるから。