『セレステ∞ジェシー』(★★★★★)
当初4館の限定公開から586館まで拡大公開を成し遂げた恋愛映画。主演のラシダ・ジョーンズ(クインシー・ジョーンズ)自身の経験がもとになっているらしい。『ルビー・スパークス』('12)といい、経験をもとにした物語を女優本人が演じると言うのはトレンドなのかな。
さて、感想。
何これ!?すげー!様々なテーマを整理して一つの脚本に落とし込み、しかもランタイムが90分と言う名作。かつ、そのテーマが今の自分にもどんぴしゃだった!
連想したのは『ブライズメイズ〜史上最悪のウェディングプラン〜』('12)。花嫁の付添人出てくるし。テーマも似ていると思う。ただ、ブライズメイズより30分短くしていることで、一本の映画としての完成度を上げている。
何よりもね、物語を切り上げるタイミングに感嘆した。主人公が成長しきるのではない、成就の予感を見せるところで物語が切りあがっていく様が、ちょうどセレステがこの時点で感じていた充足感とほんの少しの寂しさに重なっているように思えた。
先ほど『ブライズメイズ』にテーマが似ていると言ったのもそこで、他人の幸せを素直に喜べない時って大抵自分がドツボにはまっている時なのだ。特にこの映画は序盤でセレステが一見幸せに思えてしまうから対比が際立つ。セレステの他人の失敗が許せない性格を行列への割り込みへの態度で現したのはうまいと感じた。心理テストでも使われるくらいだし。ここでセレステに共感できた人にとって、それからの展開はほとんどジェットコースターなのだ。(共感できなかった人も楽しめるはず)。
でね、セレステが他人の失敗に寛容になることができるのって、自分が失敗したのがきっかけなんだよな。こうしたことで、観客自身も自分の経験を振り返り、己を反省したり、過去の失敗を肯定出来たり、そんな作用をこの映画は果たしている。
ジェシー(アンディ・サムバーグ)なんて、おれから見れば本気で最低の男だと思うし、許せなかった。でも、この最低か憎めないかという瀬戸際にいる男を許せるかどうかがこの物語の推進力になっている。完全にセレステの感情と一致して鑑賞したぼくには涙なくして観られなかった。
年間ランキングでも結構上のところ行くと思います。
- 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
- 発売日: 2013/11/02
- メディア: DVD
- この商品を含むブログ (6件) を見る