OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『スプリング・ブレイカーズ』(★★★★☆)

 まず映像がかっこいい!PV的ではあるのだけれども、クラブミュージックの持つ高揚感とともに、合間に感じる寂寞をも表現していて文学性すら感じた。どことなくアメリカンニューシネマの香りもする。
 最近の作品で類似点を指摘しやすい映画といえば、『プロジェクトX』('12)。あちらも、パーティーの狂騒が犯罪行為に行きつくまでを描いている。ただし、こちらの方がよりドラマに焦点があっている。だんだんパーティーの感じが違ってくる点含め。DJをやっている人が知り合いにいる身としては、そういった一面だけではないということを強く言っておきたいけれど、ただ、パーティーはあくまで舞台装置。先ほど言ったように、自由・解放を強く求めつつもその先にはさらなる現実が待っている。
 だから、ブレイカ―ズの4人というのは、実はある1人がどの分岐点を選ぶかを現わしているように思えた。
 で、この映画に一番近いと思ったのが『真夜中のカーボーイ』('69)なんですよ。*1アメリカンニューシネマの代表作といえる作品だけれども、1シーン明確なオマージュがあります。きっとこの映画のサイケデリックなシーンを現代版に移し替えたて、劇映画一本分まで引き延ばしたのがスプリングブレイクなのだ。
 あとは『ブルー・ベルベット』('86)とか『ブギーナイツ』('97)にも近いものを感じたな。華やかな憧れの世界が実際に中に入ってみると思った以上に凄惨な様子が。こういう映画を見た後でも派手なパーティーが楽しそう、ちょっとだけ潜り込みたいなあとは思ってしまう。中高生の頃聞いてた洋楽の延長線上の世界だからね。


 ちょっと気になったところとしては、前半があまりにもハイスピードで進むため、演出上の効果とは言え後半パワーダウンしたように見えてしまうところ。あと、アクセントで用いられる金属音は生理的に若干不快だったことを正直に申し添えておきます。

*1:要は、ブレイカ―ズの4人がジョン・ヴォイトで、ジェームズ・フランコダスティン・ホフマンに対応している。