OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2013年観た映画ランキング(108−76位)

年の瀬のほど、いかがお過ごしでしょうか。 
 さて、毎年恒例(といっても2年目だが)の、今年公開の映画全部に順位をつけて、そのひとつひとつにコメントしていくというやつをやろうとおもいます。
 完全に自己満足の企画ですが最後までおつきあいいただけると幸いです。だんだん熱量があがっていくはずなので。まずは108位から76位まで、カウントダウン!


108位 サンゴレンジャー
 映画を悪しざまに言うのはよくないということを自明にしながらも、これは沖縄在住として批判しなければいけない映画だった。期待値を限界まで下げて行ったのにそれをさらに下回るという経験を久々にした。てか、佐々木希って一番沖縄県人役でキャスティングしちゃいけない女優さんじゃないか! 朝ドラの『純と愛』もそうだけど、沖縄を舞台にした作品となればそりゃ観光に結びつくわけで、そこでこけたら次にチャンスが回ってくるのはいつになるのかということになる。石垣島宮古島へもう一度チャンスをという気持ちを込めてワーストに選びました。
 印象に残ったところとしては、ヒール役の新聞記者を演じた坂田聡さんが『ダークナイト』のジョーカーを模した演技をしていたところかな。
 しなしながら、沖縄を舞台にした映画が今後上位にも登場するので、沖縄映画の懐の深さを示しているのかもしれない。ある意味。


107位 ダイ・ハード/ラスト・デイ
 観ているときはそうでもなかったんだけど、観終わった後恐ろしいほどに印象に残っていない映画だった。今から10年くらい前に、批判のやり玉に挙がっていたブロックバスター映画の典型のような作品で、『ダイ・ハード』1作目の魅力が残っていない点でもマイナス。


106位 俺俺
 ひょっとすると深読みをする価値があるのかもしれないが、以前の三木聡独特のポップな演出を削ぐだけでこれほどまで面白みのない作品になるのかと失望した。あとやっぱり亀なしくんは苦手なタイプ。


105位 県庁おもてなし課
 有川浩のラブコメはそこまで嫌いじゃないけど、その他もろもろの要素が映画的でない。特に、ハングライダーに乗っているシーンで途中からアニメに変わるのがいただけない。


104位 監禁探偵
 低予算映画なので応援したいけれど、いろいろ無理のある話だったと思う。ミステリーの映像化は難しい。


103位 ドラゴンボールZ 神と神
 ランキングとしては低いけれど、ぼくの世代(1980年代生まれ)にとってはマストなわけでして。粗だらけの作品だし、悟空が決して「最強」ではない点など、不満もあるのだけれど、野沢雅子さんが元気なうちに作られるべき作品だったと思います。


102位 デッド寿司
 井口昇監督作品は点数の上限を低くして見るものとは思うが、取り立ててこの映画を井口作品の中から推す感じはしなかったかな。寿司が暴れる場面など、今まで見たことのない映像が観られた点は評価したいが。


101位 カラカラ 
 いや、面白いと思うんです。母国語ではないからこそ本音が言えるというコミュニケーションのあり方とか。ただ、あまりにも起伏が無さ過ぎて眠ってしまった・・・。


100位 LAギャングストーリー
 さて、これだよなあ。ひょっとするとルーベン・フライシャーが苦手かもしれないと思った。『ゾンビランド』も確かにユニークな作品ではあるけれど、どうものめり込めない感があった。今回も、ところどころスタイリッシュな演出や、ジョシュ・ブローリンの演技等、見どころはあったけれど、観終わった後恐ろしいくらい何も残っていない感じがした。ライアン・ゴズリングエマ・ストーンを使っているのに・・・。



99位 HK 変態仮面
 まず、よくこの企画が通った! 全体的にチープな感じがして(特にビルの中なんかつらい)、それが味になっていないのはよろしくないけど、そもそも企画の時点で嫌いにはなれないのです。


98位 ゴッドタン キス我慢選手権THE MOVIE 基本的には映画として誉められるところはない。劇団ひとりの発想もテレビコーナーの時のほうが発想の飛躍が見られる。ただ、ラストの展開がちょっと胸打たれた。この映画にも出演しているマキタスポーツが著書で言っていた、嘲笑う者より笑われる者のほうが尊いという考えがここで示されている気がしたから


97位 DOCUMENTARY of AKB48 No Flower Without Rain 少女たちは、涙の後に何を見る 前作の衝撃(前作は2012年映画ランキング11位)と比較しているからかもしれないけど・・・。前作は西武ドームの舞台裏の凄惨さや被災地訪問等、肉体的な痛みと社会への対峙が物語を引っ張っていたと思っていて、今回は逆に恋愛スキャンダルによる精神的な痛み、そしてAKB48という組織内の葛藤に重きが置かれている気がして、ぼくはそれがなんか物足りない気がした。結局、コップの中の嵐のような気がして。


96位 96時間/リベンジ
 ダイ・ハードに比べたら十分面白いけど、やっぱり普通のアクション映画。
 この順位にとどまったのは前作が結果的にリーアム・ニーソンがやり過ぎるがゆえに変わった映画になっていたという落差によるものが大きい。


95位 ジャーニー/ドント・ストップ・ビリーヴィン
 一部では評価高いけど、なぜか乗れなかったんだよな。
 もちろん、こんなことが本当にあったのかというくらいの話ではあるし、これ以上ないほどに映画的な題材だと思う。
 ジャーニーにせよアーネルにせよ、苦労時代があったことは触れられるものの申し訳程度なので、明るい面ばかりフューチャーしている気がしたのが乗れなかった理由かもしれない。


94位 ヒッチコック 冒頭のヒッチコック劇場を模した作りからユニークだし、何本かヒッチコック映画を観た人間としては少々物語に没入したものの、普通の映画に落ち着いてしまったかな。


93位 東京家族
 これも『ヒッチコック』と似た問題を持っていて、そもそも小津やヒッチコックをオマージュではなく題材にとって向き合うというのが負け戦ではあるのだけど。ただ、それでも山田洋次が未来に希望を持とうとしているのはちょっと心動いたので。


92位 ひまわり〜沖縄は忘れない、あの日の空を〜
 観終わった当初は「ついに沖縄の問題をフラットにとらえた映画が現れた!」と思ったのだけれども、よくよく考えるとフラットじゃないし、ラストの音楽の流れって思想的に地味にひどいんじゃないかと思えてきた。沖縄文化の余韻をかき消すように米国ロックに影響を受けた音楽が鳴り響くわけだし。
 ただ、宮森小学校への飛行機の墜落場面がきちんと怖かったり、能年玲奈ちゃんが出てたり、いい箇所もいっぱいあると思います。
 

91位 聖☆おにいさん
 悪くないです。OVAでも十分とは思うけれども、原作の独特な空気感の再現はうまくいっていると思うので。


90位 さよならドビュッシー これは二つ前のひまわりとは真逆で、観終わったあとはひどいと思っていたけれども、思いだすと結構よかった気がしてくる。こちらは橋本愛主演の音楽ミステリー。
 よかったところとしては舞台裏のカメラの動きとか、伯父さんのキャラクターとか、あとこれはセットがかなりチープだったのだけれども、この作品に関しては味になっていた。


89位 アフターアース
 これはなんだろうねえ。ウィル・スミス親子のSF。
 あのモンスターが怖く撮られていて、さらに恐怖の克服がテーマになっているという意味では成功しているけど、もろもろのSF考証がずさんすぎて物語世界が広がって行かない気がしました。


88位 フラッシュバックメモリーズ 
 これはなんだろ? 絶賛している人も多いけれど、ほとんど感想らしい感想が思い浮かばなかった。もう一度見るまで評価保留。


87位 シュガーマン 奇跡に愛された男
 こちらもジャーニー同様、本当にあったこととはにわかに信じがたい話。確かにこちらのほうが映像的に地味ではあるのだけれども、なんというか、これは映画の部分ではないにせよ、音楽性と人間性とテーマの一致が達成されていると思った。


86位 マン・オブ・スティール
 映像的にすごいのはわかる。世界最高峰の飛翔シーンに、テレンス・マリックのような映像美。ただ、人とは違う点で疎外された者が活かし所を得て活躍するというお話なのに、主人公の人となりがほとんど思いだせないのはなんでだろう。敵役のマイケル・シャノンの顔ばかり思い浮かぶ。


85位 キャビン
 確かにホラー映画の盤石をなぞりつつも批評としてうまく機能しているというところでうまさは感じるのだけれども、これをホラー映画だけでなく広く物語全体に当てはめられるような普遍性を持たせるにはあと一歩足りなかった印象。


84位 バレット
「俺は殺し屋、女子供には手を出さない」こんな台詞の言えるキャラクターが21世紀の今成立できることにも驚いたし、渋いところはかなり好きだ。けれども、時折説教臭く感じるところがあった。


83位 アウトロー
 トム・クルーズ主演で、70年代風アクションをあえて現代によみがえらせたという点で、『バレット』同様、今年何本かあった往年のジャンル映画オマージュとして記録されることになるでしょう。随所で話題になったけれども、個人的には、こういった映画内世界だけで完結している(外側の政治や文化に対してアプローチをしていない印象を受けた)作品は物足りなく感じるので、ここにとどまりました。


82位 アイアンマン3
 こちらも一昔前のアクション映画を感じさせる雰囲気。監督がショーン・ブラックということもあって、ゴールデン洋画劇場でやってそうな感じを醸し出していて、そこは割と好みだった。この順位にとどまったのは、なんか閉じた印象を受けてしまったから。


81位 ハングオーバー!!! 最後の反省会
 くしくも3部作の完結編が並んでしまった。アイアンマン同様、こちらもシリーズを台無しにする出来だなんて思っていません。強いて言えばアランがむかつくことこのうえなしってくらいで。いいところもいっぱいあります。男ども4人がそろい踏みするシーンとか、風力発電の風車がたくさんあるロケーションとか、好きなシーンいっぱいあるし。


80位 ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日間
 さあて、今年の鬼門だ。評判はいいけれども、個人的にはそこまで乗れなかった。アバター以来の映像美として宣伝されていたけれども、個人的には好きな類の映像ではなかった。あと、この映画はしかけが隠されているけれども、このしかけってデジタルのクリアーな画質だと効果が半減するような気がする。つまり、虚構か否かが曖昧になっていないのがすごく気になった。ただ、クジラやクラゲ、トビウオ等、迫力は確かに感じた。


79位 さよなら渓谷
 とにかく前半の諸々の描写にリアリティを欠いていて、好きにはなれなかった。ただ、後半になってロードムービー化してからはかなり面白く見られた。真木よう子は熱演。


78位 塀の中のジュリアス・シーザー
 受け止めきれなかった作品ですね。刑務所の中という隔絶されたタイムレスな空間を侵食する『ジュリアス・シーザー』の劇、というのが面白さなのだろうが、ちょっと咀嚼しきれなかったし、そのテーマにも今のところ興味が持てなかった。ただ、時折動きがすごく美しいところがあった気がする。


77位 Blankey Jet City/VANISHING POINT もうちょっと上でもよかったかもなあ。BLANKEY JET CITYというバンドは中学高校の頃のぼくにとってヒーローで、そのヒーローが苦悩している姿を描写したという点で、個人的には胸が痛くなるような映画だった。


76位 標的の村
 前半は普通のドキュメンタリーという印象だったが、とにかく後半、オスプレイが配置される際の闘争を記録したという点で、価値のある映画になった。あの場面、負けるとわかっていても立ち向かわざるを得ない人々の姿は否応なしに胸を打つ。こんなやり方効率悪いと思ったが、かといって何の行動も起こさない自分に比べたら、あそこで拳を振り上げる人々のほうが尊いに違いない。そんなことを思わせられた。



続きはまた明日。明日は75位から51位まで、もっと愛着のある作品が並びます。