OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2013年観た映画ランキング(75位−51位)

 このあたりから、順位は低いけれど思い入れもあるといった作品も見えてきます。
 特に、53位から51位にかけては、裏ベストといってもいいかもしれません。

75位 テッド
 そこまで嫌いじゃない。満席の会場で観てわりかし幸福な気分にはなれた。
 ただ、やっぱり主人公が何も失わないですべてを手に入れてる感がひっかかった。
 あと、僕だったら万難を排してミラ・クニスと一緒にいるね!


74位 バチェロレッテ‐あの娘が結婚するなんて!‐
 コメディとして平均的な作り、特段優れている部分はないもののふつうに面白かった。キルスティン・ダンストはあまりコメディに向いていない気がする。


73位 アルマジロ 
 デンマークの兵士を描いたドキュメンタリー映画。決して爽快を与えてくれるものではないが、軍隊内という閉じた空間でのみ通用する倫理が作られていく過程を画面に映し出しており、それは確かに普遍性を持っている。おいそれとは勧められないけれど、ものすごく大事なことを描いていると思っています。


72位 ワイルドスピード EURO MISSION 
 前作が好きだったし、主演俳優の一人が亡くなってしまったこともあって感傷的な印象を受ける。相変わらず度を越したアクションをやっているとは思っているけど、今回ハチャメチャやるのはドム達じゃないので、そこが不満。やっぱりハチャメチャにはハチャメチャの倍返しが観たかった。ポール・ウォーカーのご冥福をお祈りします。


71位 モンスターズ・ユニバーシティ
 よくできているとは思う。ただ、実は爽快感があるつくりにはなっていない。とらえようによってはいくら努力しても叶わないことはあるというメッセージにも受け止められかねない。ただ、バディ誕生までを描く映画として面白かった。


70位 しわ 
 これも困った作品。ぼくの捉え違いとは思うけれども、老いが怖くないという方向にメッセージが進んでいるような気がしたが、ぼくはやっぱり老いは怖いと思ってしまった。


69位 夏の終り
 満島ひかりが女優として新たな一歩を踏み出そうとしている。非常に丁寧な描写の数々に、奔放な恋愛を見せる主人公。時折退屈に感じてしまう部分もあったが、味わい深い作品になっていた。「憐憫よ!」という台詞は相当印象に残っている。


68位 ジャッジ・ドレッド
 アメコミヒーローものでありながら、舞台はものすごく限定していて、去年ヒットした『ザ・レイド』を連想させる。こういった取り入れの早さは流石ハリウッドとは思うが、どうもそれ以上広がって行かなかった印象。トリップ描写にスローモーションを使う等アイディアはいいだけに、惜しい。


67位 死霊のはらわた
 よかった。もとの映画とは別の方向性でエクストリームさを出そうとしていた。血の雨とか映画的に快感だったし。うーん、文句があるわけじゃないし、『キャビン』よりも全然好きだけど、上位に持っていく感じじゃない、ってだけだな、これは。


66位 LOOPER ルーパー
 好きですよ。未来の表現には非凡なものを感じるし、撮り方も普通じゃなくてこれからも応援していきたい。ただ、これはライアン・ジョンソンという若き才能がビッグバジェットの中でも存在感を示しつつ、決して彼のフィルモグラフィを後から振り返った時に代表作にはならない、そんな一本だと思う。個人的にも『BRICK』のほうが好きだな。


65位 真夏の方程式
 テレビドラマの劇場版を限りなく映画に近づけた作品。好きではあるけど、脚本の粗が気になって、それは結構映画として本質に関わる部分だと思うのでどうしても評価を上げることが出来なかった。ただ、西谷弘監督は右肩上がりによくなっているので、今後彼の映画がキネマ旬報ベストテンに入っても驚かない。


64位 謝罪の王様
 賛否両論あるクドカンだし、欠点ははっきり言っていっぱいあるのだけれども、井上真央がこれだけクドカン脚本と親和性が高いことを観出しただけでも傑作。あと、この映画を観たあとに行く予定だったフェスが中止になったので、その悲しみを和らげたという意味でも映画の力を感じました。


63位 中学生円山
 クドカン監督作品で、キック・アスmeetsふがいない僕は空をみたマイナスsex。中学生の妄想があまり突飛な感じがしないのが残念だったけれども、見た記憶を思い出すとそれが自分の中学生のころにシンクロする感じを覚えるので、きっといい映画だったんだと思います。刈谷友衣子もエロかった。彼女は日本映画専門チャンネルの「岩井俊二映画祭」に出演していたこともあって、刈谷岩井俊二リリイ・シュシュ→青春映画とイメージをつなげやすい。


62位 愛さえあれば
 スサンネ・ビアはこれまでシリアスな作品を中心にとってきたが、今回はコメディ風味。とはいえ、主人公たちの家族が明らかにリアリティのある嫌な奴で、このあたりは作家性が出ているかも。主人公の夫が娘の結婚式でとる行動が本当に「ちょwwwwwおまwwwww」って感じで。ビアース・ブロビナンが出ているせいか、ハーレクインロマンスのような感触を受けるのが残念。


61位 琉球バトルロワイヤル 
 これより下に挙げた作品で、これよりクオリティが勝る映画はいっぱいある。ただ、これは原石みたいな作品なんです。CGが幅を利かせるなか、いかに肉体を用いて映画的快楽を出すか。低予算だからこそその試みが光る。日本のアクションと言えば坂本浩一監督の独壇場だったけれども、是非殴り込みをかけてほしい。


60位 クロニクル(2回)
 鬼門その2。良さはわかるんです。ただ、どうも感覚じゃなく理窟で理解しちゃった感じで、大勢ののめり込みと比べると温度差を感じてしまうというのが正直なところ。多分だけど、ジョシュ・トランクは今後大傑作を撮って、彼のアイディアが随所に詰まった原石がこの映画ですといった紹介のされ方を今後されるんじゃないのだろうか。やっぱりまだ荒削りだと思う。



59位 きっと、うまくいく
 不安になった時は「All Izz Well(きっと、うまくいく)」と唱えろというメッセージは非常に重要だ。こう、社会全体がマイナスな空気に覆われている時は。ちょっとマック赤坂っぽけれど。映画としても物語の前に進む力が強く、ぐいぐい惹きつけられた。ただ、思ったより順位が伸びなかったなあ。なんか後半、ちょっと編集が拙かった印象があって、そこが気になった。ある人物の結婚式のシーンとか明らかに前後の繋がりがおかしい。もしかすると完全版があるのかも。


58位 華麗なるギャツビー
 アメリカの青春とも言える文学をド派手な映像で映画化。最近のダンスミュージックも用いていて、ギャツビーが生きた1920年代と現代を地続きに描こうとしていた。観終わった時はもっと上だったんだけど、時間がたつとあまり残るものがない。もともと、文学作品でストーリーとしては弱いところもあるから、そこの点で心にひっかけるフックが足りなかったのかも。


57位 千年の愉楽
 若松孝二監督の遺作。これも観終わった後はもっと上だった。まず、ロケーションが素晴らしい。そこで説得力を増しているし、かつ、血と地に縛られているがゆえの呪いというテーマは、最近でも『サウダーヂ』に通じると思った。この順位にしておきながらあんまりかもしれないけれども、文句は無いです。ただ、ここまで来ると上が詰まっているだけで、毎年50本以上見る価値のある映画が作られていると思うと、少々絶望的な気分になるだけです。


56位 クロユリ団地(2回)
 一回目はあまりよい印象は持っていなかったが、二回目はテーマ性含め、かなり楽しんで見た。ぼくはこの映画、本当に怖いのは前田敦子演じる二宮明日香だと思っている。ホラー映画の主人公が持ち合わせている生命力、生き抜こうという力を彼女は持っていない。そしてそういう点は自分にも思い当たる点がある。そして、このキャラクターは、どんよりした眼を持った前田敦子にはまさに適役。ちなみに、そういったキャラクターに再び生命を与えたのが『ゼロ・グラビティ』。


55位 リンカーン
 カメラワークがすごいと思った。映像としても、光と影の使いかたがよかったし、一票の重みを実感させるという意味で、現代に撮られるべき一本だった。投票率の低下が嘆かれている今の日本でこそ見られるべき!ただ、自分には格が高すぎるので、この位置に置かせていただきました。


54位 ムード・インディゴ うたかたの日々
 映像の気持ちよさが詰め込まれた映画。CG全盛期だからこそ、コマ撮りアニメの快楽を存分に感じることができた。後半はちょっと飽きが来たけれども。これも完全版を観ていないので、十分に評価できていないのかも。


53位 フィギュアなあなた
「変な映画だったで賞」! これほどまでに変な映画は見たことないよ。おそらく石井隆流に、近年の美少女アニメによくある設定とか、あと是枝監督の『空気人形』を変奏したのだろうけど、出来あがったのはとんでもないものだった!佐々木心音の体当たり演技は確実に女優生命に良くも悪くも影響を与えるレベル。駄作という意見も理解できる。ただひとつ言えるのは、こんな映画誰も見たことないでしょう。明らかに今の時代とはずれているけど、それゆえ衝撃を与えるという点で、石井隆大林宣彦からはこれからも目が離せない。


52位 ダークホース〜リア獣エイブの恋〜
「この身につまされる感は尋常じゃないで賞」!ダークなニート、エイブの生活を描く。ポップではあるけれども悪意に満ちていて、非常に(不謹慎な言い方だが)楽しく見ることが出来た。それでも、自分の中の嫌な部分を見せられた感触がこの順位に留まらせているのかもしれない。



51位 ザ・フューチャー
「ベスト台詞賞」!観終わった時は(ネコの取り扱い等もあって)結構嫌いだったのだけれども、時間が経つにつれてこの映画は今の自分に必要な映画だったのではという気がしてならない。この類の感覚はもうひとつ『テイク・ディス・ワルツ』という映画にも感じた。ストーリー展開も似ている。
 この映画の中に出てくる「君らの始まりはまだ終わっていない」という台詞は、パートナーを持つ身としては身にしみる。ふと、この映画の中に出てきた彼らはいったいどうすればよかったのか考えざるを得ない。眠たくなる映画ではあるのだけれども、この退屈さは倦怠期を迎えた恋愛を追体験させているのかもしれない。反面教師にする意味でも、これから末永くつきあっていくことになりそうな映画だ。


 今日はここまで!続きは明日!50位から31位まで発表します。