OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金』(マイケル・ベイ) ★★★★☆

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 レンタルDVDにて鑑賞。

 マイケル・ベイといえば、ド派手なハリウッド超大作の代表的監督だが、本作はそんな自己のキャリアを自ら批判的に捉えたような内容ともとれる。というよりも、元々ベイとはメジャー作を手掛けるが故健全な物語を描くことが多かったが、本当は極めて不健全な作家じゃないかと。
 だってこれ、ベイ監督の他のキャリアからは明らかに浮いていて、むしろ『冷たい熱帯魚』とか『凶悪』に近い作品だからね。さすがに杜撰だろとか、やっぱりベイだし脚本に穴があるなあと思っていると、この言葉を突きつけられる。「これでも実話」
 正直に言って序盤は、「評判いいけどやっぱりベイ合わないなあ」と思っていたのね。全部フォルテだからメリハリがなくて、集中してないと物語を取りこぼす感じ。これ、娯楽作品としては弱点と言っていいと思うの。マイケル・ベイを芸術としてとらえ直す見方なら話は別だが。
 ただし、後半のアクション映画的な鋼の肉体が現実にぶつかって軋轢を起こす辺りから、ベイ風の過剰演出が噛み合って来た。たぶん、マイケル・ベイ演出を支えるにはそれだけ強靭な物語が必要ということなのだろう。普通は物語が演出を支えるものだけどね。
 特にある悲劇が起きる部屋とダンスやって筋トレを行っている部屋を特殊なカットバックで映すところなんて痺れたな。他のどんな派手なベイ映画のシーンより高揚感があった。
『ペイン&ゲイン』を思いの外気に入ったのって、自分がどことなく、それこそマイケル・ベイに象徴されるハリウッド超大作の在り方について疑問を抱いているからなのかなとは思った。

ペイン&ゲイン 史上最低の一攫千金 [Blu-ray]

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