OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

ソポクレス『オイディプス王・アンティゴネ』(新潮文庫)

 アンティゴネはまだ普通な印象を受けたけれど、オイディプス王はすごい。ばかみたいな言い方になるけれども、お勉強としてではなく今読んでも十分面白い。
 ギリシア悲劇として名高い作品だけど、悲劇がなぜ悲劇かって言うと、物語が始まった時点、あるいは、当事者がそれを知った時点で、すべてのことは起こってしまっており、取り返しがつかないからではないか。それを神の所業というのかもしれない。最近の映画だとリドリー・スコットの『悪の法則』がまさに「悲劇」だった。そのほかにも、名前を挙げると完全にネタバレになる作品も含め、「悲劇」は今なお多くの作品に観られる。
 ただ、そういった物語構造の面白さだけではなく、単純に(これはシェイクスピアの作品を読んでいても思うけれど)言い回しの面白さだけである種のグルーヴが発生しているので、現代の読者としてそういったのを楽しむのもありだと主張したい。

オイディプス王・アンティゴネ (新潮文庫)

オイディプス王・アンティゴネ (新潮文庫)