ソポクレス『オイディプス王・アンティゴネ』(新潮文庫)
アンティゴネはまだ普通な印象を受けたけれど、オイディプス王はすごい。ばかみたいな言い方になるけれども、お勉強としてではなく今読んでも十分面白い。
ギリシア悲劇として名高い作品だけど、悲劇がなぜ悲劇かって言うと、物語が始まった時点、あるいは、当事者がそれを知った時点で、すべてのことは起こってしまっており、取り返しがつかないからではないか。それを神の所業というのかもしれない。最近の映画だとリドリー・スコットの『悪の法則』がまさに「悲劇」だった。そのほかにも、名前を挙げると完全にネタバレになる作品も含め、「悲劇」は今なお多くの作品に観られる。
ただ、そういった物語構造の面白さだけではなく、単純に(これはシェイクスピアの作品を読んでいても思うけれど)言い回しの面白さだけである種のグルーヴが発生しているので、現代の読者としてそういったのを楽しむのもありだと主張したい。
- 作者: ソポクレス,福田恒存
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1984/09/27
- メディア: 文庫
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