OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

もらとりあむタマ子(山下敦弘) ★★★★★

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 聞きしに勝る傑作。前田敦子という女優は『クロユリ団地』でも感じたけれど、覇気のなさが魅力に繋がっていて、その意味でこれはジャストフィットな素材だった。で、昨日見た映画の中で、一番ドラマを感じたのも実はこの映画だった。秋編にて死んだ目でロールキャベツを頬張り、テレビゲームをするタマ子はこの時点では自らのダメな部分の投影に思える。でも、タマ子も多分気づいている。このままじゃいけないと。 前田敦子の無表情の裏には居心地の良さと悪さが、充足感と焦燥感が同居しているわけです。最初は山下敦弘作品にしてはカットが短いなとは思ったけれど、これは小津オマージュなのかもしれないし、前田敦子の演技に合わせてのことなのかも。上映時間も短いし、ソフト化されたら繰返し見るだろうな。女優・前田敦子のひとつの到達点だと思います。