岡本茂樹『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)
実は後半何度か落涙した。加害者を更生させるには自分の罪を自覚させること、そのためには負の感情を吐き出させ、そのおおもとはどこにあるか(家庭環境に含まれることが多い)を探り当てる必要がある。
他者を頼ることのできる人間になること、「弱さ」を見せられること、それこそが更生の路だという考えには、筆者の優しさを見てとることもでき、また個人的にも重なる部分が多くて涙した。同時に、それをこの世の中で達成することのむずかしさにも思いを巡らせた。他者を受け入れる人間が少なくなり、犯罪を犯した者を槍玉に上げる社会、果たして心を開いたら余計に傷つく可能性も考えなくてはと思わざるを得ない。あと、個人的には全員がありのままで生きたら世の中成り立たないんじゃないのという疑念はどうしても晴れない。ただ、それでも「ありのままで生きること」の大切さは、少なくとも個人単位では救いだと思うのだ。
- 作者: 岡本茂樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/05/17
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (21件) を見る