JUNO ジュノ(ジェイソン・ライトマン)
ジェイソン・ライトマンはこの作品と続く『マイレージ、マイライフ』において、明らかに映画にマジックが起きているとしか思えない。素晴らしかった。
僕、『パシフィック・リム』みたいな映画を見ても「なんでこれを日本でつくれないんだ」とは思わないんです。はなから無理だとわかっているし。でも、こういう映画を見ると「なんで日本で作れないんだ」と思ってしまいますね。アイディア一つでいくらでもできる作品だけに。
未成年の妊娠とか、里親とか、日本だったら野島伸二が眉間にしわを寄せて書きそうなところだけど(野島は野島で突き抜けていて好きだけど)、そういったのをあっけらかんとウディ・アレンばりのユーモアで包む。こういった芸当は本当にうらやましい。そりゃ子供を授かるとか、親になるとか、それそのものは大事なテーマだけれども、ユーモアを持つことがイコール不誠実にはならないと思わせられるんですよ。なぜかって、ジュノ自身のテーマの向こうにこの映画の裏テーマ、大人になりきれない男が見えてくるからですね。だからこの映画、個人的にはアレクサンダー・ペイン監督『ハイスクール白書』や吉田恵輔監督『ばしゃ馬さんとビッグマウス』と並んで痛いところ突いてくる作品ではあるんです。ただ、この2作品に比べて後味はさわやかだったな。この映画の中である人物の顛末については決して救われているとは言えなくて、それは僕個人の宿題になったなと思った。そう考えると『サンキュー・スモーキング』は父と子の関係性を補完する意味で、やはり意義ある作品なのかも。
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