OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん(郄橋渉) ★★★★

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 とてもよかったです。泣きました。僕は中島かずき脚本が何だかんだで好きなんだと実感。
 設定が絶妙。クレヨンしんちゃん映画はプログラムピクチャーであるため、キャラクターの劇場版での記憶はそのたびにリセットされるはずだ。しかしながら、野原ひろしは『オトナ帝国の野望』で明確に内面を与えられている。『戦国大合戦』 である決断をするひろしはその記憶があったはず。この映画のなかでひろしのあるアイテムの使い方は『オトナ帝国』を彷彿とさせます。そのあたり、やはり『オトナ帝国』の系譜が復活していたのはうれしい限りなんですね。
 ここで脚本の中島かずきの特超がうまく合致したと思う次第。中島かずきは『キルラキル』 が最も顕著だけど、通常ならありえないような、気力が物理法則を打ち破るような瞬間を、理屈、いや、超理屈で描くことを得意とする作家です。だからこそ、理屈が飛躍した瞬間に輝く。この映画の父権論と、男性の幼児性論の接続は決してうまくいってないとは思うんですけど、僕はやっぱり中島かずきの超理屈による飛躍がたまらなく好きなんですね。普段窮屈な考え方しかできない自分に自由の在り方を教えてくれるようで。ただ、ここは好き嫌い分かれると思います。
 あとは、ここは彼女に指摘されて気づいたんですが、武井咲演じる段段原ちゃんは『キルラキル』の満願飾マコと同系統ですね。このキャラ自体はすごく好きだけど、『キルラキル』を見たあとだと物語の中心にもっと関わってもいいんじゃないかなとは思った。
 まあ、なんつうかやっぱり好きなんすよ。こういう作品が。常に100%といってくらいメッセージとギャグを詰め込んでくれるサービス過剰なこの作品は僕にとってかなり愛しいものになりましたね。
 ああ、あと気になったところ追加。時おりひろしがダメ親ダメ夫みたいに描かれるけど、ひろしさんでダメだったら殆どの男がダメじゃないかな。ひろしはもともとかなり優れているし、いい親であることは間違いない。