OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

乙郎的音楽映画ベスト10

d.hatena.ne.jp

 年末恒例のワッシュさんのベスト企画に乗っからせていただきたく存じます。

 さて、音楽映画。多分映画ファンで、音楽はまったく聴かないって人はあまりいないと思います。だからこそ、映画を観ていてこう思った方は多いんじゃないでしょうか。
「確かに面白かった。しかし、これは果たして映画によるものなのか。音楽によるものなのか。」


 今回、無駄にそういうことを考えてしまって、少し選ぶのに時間がかかってしまった感はあります。
 けれども、結局最終的に受けた感動の総量優先、個人的記憶優先で選ばせていただきました。


1.バグダッド・カフェ(1987/監督:パーシー・アドロン)
2.リリイ・シュシュのすべて(2001/監督:岩井俊二
3.ストリート・オブ・ファイヤー(1984/監督:ウォルター・ヒル
4.スウィングガールズ(2004/監督:矢口史靖
5.東京上空いらっしゃいませ(1990/監督:相米慎二
6.シェルブールの雨傘(1964/監督:ジャック・ドゥミ
7.青春デンデケデケデケ(1992/監督:大林宣彦
8.ハイ・フィデリティ(2000/監督:スティーヴン・フリアーズ
9.独立少年合唱団(2000/監督:緒方明
10.はじまりのうた(2013/監督:ジョン・カーニー)


 1位のバグダッド・カフェについては、そもそも自分がちゃんと映画の古典について取り組み始めたのって、この映画(と『ベティ・ブルー』)があまり評価されてないと知って、ちゃんと映画史的に正統な位置づけをしたいと思ったからだったなあと改めて思い出し、今でも単なるお洒落映画じゃないと思っているので、初心に返って。2位のリリイ・シュシュのすべてにも似たような思いがあるかもしれない。また、これは(公開当時は観れなかったが)自分が高校生の頃に公開された映画というのも大きいかもしれない。


 3位のストリート・オブ・ファイヤーは午前10時の映画祭で初めて観たが、80年代にタイムスリップしたような気分になった。僕の生まれた年の映画。


 4位の『スウィング・ガールズ』はベストに選んだ映画の中では見た回数が一番多いかもしれない。


 5位の『東京上空いらっしゃいませ』を観ると、相米作品はオペラなんだなと実感させられる。チープな題材に似つかわしくないほどゴージャスな演出。たまらない。


 6位のシェルブールの雨傘は全編がミュージカルという怪作だが、もの寂しい幕切れがたまらない。作家の橋本治はこのシーンを「成長できた男と出来なかった女の対比」と語っていた。


 7位の青春デンデケデケデケは編集が一種ダイジェスト的でありながら大林監督特有のノスタルジアが失われていないという奇跡のバランス。やっぱりバンドが揃ったときってかっこええなと思わせられる。


 8位の『ハイ・フィデリティ』は聴く側の人間としての自意識をこれ以上ないくらいに刺激される。


 9位の『独立少年合唱団』は公開当時キネ旬ベストにはいったにも関わらずなぜかDVD化されていない。音楽が決して良い側面ばかりではないということを描いていて、それは自分の過去にも突き刺さるものだけに。あと、この時期の日本映画だと井筒和幸監督の『のど自慢』も良作。


 10位の『はじまりのうた』。ここ数年間が音楽映画の傑作が数多く生み出されている。過去作と最近の映画を同じ基準で語るのは難しいが、その中から選んだ。音楽のキラキラした部分が凝縮されていて、一枚の良作を聴いた感触が残る。
 ちなみに、ここ数年間に発表された音楽映画の良作として、『君が生きた証』『ピッチ・パーフェクト』『インサイド・ルーウィン・デイヴィス』『スプリング・ブレイカーズ』『セッション』『心が叫びたがってるんだ』『FRANK』のタイトルを上げておきたい。そして、2011年に公開され、自分の中の「サブカル」及び「アニメ」を音楽映画というかたちで決着づけた『モテキ』と『映画けいおん!』も選びたかった。