OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

桜、ふたたびの加奈子(栗村実)

 日本版『ラビット・ホール』だった。
 お涙頂戴映画の皮を被ったジャンル映画(ホラー?)として一部で評価が高い本作ですが、わりとまっとうに楽しめました。結構演出が面白い。冒頭の葬式シーンはわりと長めのカットをとるし、その他にも「なんでこんな撮り方するんだろう?」というようなカットが多かった。今話題の佐村河内守の(と言っていいのか?)音楽はかなり大きな要素を締めている。この映画は先ほど引き合いに出した『ラビットホール』同様かなり静謐で、登場人物の喋り声も小さいため音楽により感情が導かれるところが大きい。正直、主張が強すぎる気もした。ただ、『ラビット・ホール』もそうなのだけど、恐らくは多くの観客が経験したことのない「子供を亡くした悲しみ」を「大切な人を失った時の心境の変化」まで普遍化させる必要があるわけで、その意味である種の狂気にまで転じる様を見せたのは正解だと思います。カメラの移動が浮遊感があるのもその辺が理由だと思う。「子供を失った悲しみ」を描くときに誰の視点をとるか。そもそもこの視点は誰のものなのかを考えると効果的だった。個人的にはラストに一種のジャンル映画的着地をしてしまったのは不満。