OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2007-01-01から1年間の記事一覧

惑星ソラリス

1972年製作の旧ソ連の映画。アンドレイ・タルコフスキー監督。初ロシア映画で初タルコフスキー。 さあーて、この名画と誉れ高い作品にどう切り込めばいいのだろう。 まず、少なくとも商業的に見れば、どこを狙っているのかわからない作品となりますね。刺激…

女が階段を上る時

成瀬己喜男監督作品。1960年。成瀬監督は2回目。高峰秀子を観たのはこれがはじめて。キャバレーの女性たちを描いた映画。黛四郎のジャズ音楽が印象的。ちなみにビリー・ワイルダーの「アパートの鍵貸します」も同じ年。あれもジャズの使い方が独特の雰…

砂の器

松本清張原作、野村芳太郎監督の映画。何気に、初松本清張だった。 以前、熊井啓の映画について書いた時に思ったのだけれど、これをもっと派手にやれば「砂の器」になるな、と。そのときには、途中までしか「砂の器」観たことなくて、それで、最後まで見てみ…

アンダーグラウンド

エミール・クストリッツァの問題作。1995年製作。 観る前は、戦中の思想のまま暮らし続けた人が長い時を経て外に出たときにどういう反応をするか、を描いたコメディ、だと思ったのね。たしかにそういう部分もあった。しかし、これはなんだろ? まず日本では…

斉藤和義「Because」

斉藤和義の5枚目のアルバム。1997年発表。 この年の斉藤和義はアルバム2枚出しているし。名曲「歌うたいのバラッド」も出しているしで、相当精力的な活動をしている。今でもコンスタントにアルバムを出し続けているから、プロのシンガーソングライター…

チャットモンチー「生命力」

チャットモンチーの2枚目のアルバム。 どうやら、ソニーは本腰を入れてチャットを第二のJUDY AND MARYにし始めたらしい。 そのことを顕著に表しているのがサーフ風の「とび魚のバタフライ」とジュディマリの「BATH ROOM」を連想させる「バスロマンス」だと…

幸福の黄色いハンカチ

山田洋次の映画。1977年。出演は高倉健、倍賞千恵子、武田鉄也、桃井かおり。しかし、実質的に主役は武田と桃井のようなもの。 ぼくは「男はつらいよ」が好きで、あの柴又の世界観は日本が世界に誇るものだと思っている。だけれども、時折寅の無神経さに憤り…

GO

金城一紀の青春小説を、宮藤官九郎が脚本を書き、行定勲が監督した作品で、この年の映画賞を総なめにした作品。 前半の疾走感は面白いの一言。ここだけの話、ぼくは原作を現代の「ライ麦畑でつかまえて」じゃないかってくらい高く評価しているのだけれど、そ…

日本列島

社会派映画監督・熊井啓の1965年の映画。 とにかく空恐ろしくなるのは、もしかすると今でも日本はアメリカに支配されているのではないかと思わされること。 少しずつ真実が明らかになりそうで、それが目の前で掠め取られてしまうような、そんなもどかしさが…

恐怖分子

台湾の監督・エドワード・ヤンの1986年製作の映画。初エドワード・ヤンだった。 ストーリーが複雑で、正直一回見ただけじゃわからなかった。ただ、印象的な映像は多いけれど、全体としてまとまっているわけではないし、ストーリーをわかりやすく説明している…

スクール・オブ・ロック

デトロイト・メタル・シティが映画化されるそうだ。はっきり言って、期待できるとは思えない。 この作品は原作者がメタルをはじめとするについて描いているにもかかわらず、ロック全般の知識がないため、内容がスカスカであるのがつらい。だから、もし映画化…

グッドモーニング・バビロン

1987年のイタリア・アメリカ合作映画。製作後20年の今、あまり評価が高くない気がするのは気のせい? キネ旬だと「映画に対する愛情を示す一作」で「この年群を抜いていた」とあるけれど、それほど? 確かに、撮影機を巧く小道具に用い、敵対すること…

書を捨てよ町へ出よう

松本人志が「大日本人」を撮ったときに言っていたのは、「既存のジャンルにあてはまらない」ということだった。 しかし、できた映画は、きちんと「映画」だった。確かに新しい部分はあったかもしれない。けれど、数少ない前情報と、松本がこれまでコントの枠…

竹内真「風に桜の舞う道で」

正直に言えば、かなりセンスのないタイトルだ。 内容も、あまり突出したところはみられず、予備校寮である「桜花寮」の日々は楽しそうだな後は思うし、一人一人のキャラクターの掘り下げもなかなかだとは思うけれど、そこに流れる思想は良識を抜け出してはい…

霧の中の風景

アンゲロプロスといえば難解だという印象があります。 ぼくもそう思っていました。だから一番上映時間が短いこのビデオを借りました。120分。 個人的に長回しは好きなので、わりとサクサク見ることができました。 これはいわゆるロードムービーですね。アテ…

ヘザーズ ベロニカの熱い日

高校生の頃は今以上に傷つきやすかった。自殺なんて年がら年中考えていたかもしれない。 主人公のベロニカ(ウィノナ・ライダー)は他人の筆跡を真似るのがうまいこと以外は平凡な高校生だ。ヘザー率いる女子グループで一番下っ端みたいなポジションに居る。…

鬼頭莫宏「ぼくらの」

鬼頭莫宏の「なるたる」に続く作品。 「なるたる」で気になった設定の説明の不明瞭さがコエムシというナレーター役を置くことで改善されている。 そして、おそらくここで作者はもうひとつ改善を狙っていることがあると思う。 それは、物語の勝利だ。 おそら…

鬼頭莫宏「なるたる」

鬼頭莫宏はかなり斬新な考え方を導入したと思う。 それは、命は代替が利くものだ、ということだ。 「なるたる」と同じ雑誌で連載された「寄生獣」は漫画史に残る傑作だと思う。けれども、作者が作中で出した問題に結論が出せているかは疑問だ。最終的に「私…

六道神士「ホーリー・ブラウニー」

「エクセルサーガ」を代表作としてもつ漫画家六道神士の隠れた傑作。中世、現代、未来、「今は昔」の世界など古今東西問わずありとあらゆるところに表れる妖精(神様のパシリ)のフィオとビオラが神様に与えられた仕事を遂行し人間を助くべく奮闘するが、最…

帝銀事件 死刑囚

社会は映画監督・熊井啓のデビュー作。1964年公開。 いわゆる群像劇で、後半は信欣三演じる平沢貞通に焦点が絞られてきますが、基本的にはいかにして真実が明らかになっていくか、そして、そもそも何を持って真実とするのか、ということを観客に叩きつける作…

実相寺昭雄監督作品。1973年公開。 少々難解で、何度かDVDを戻して見ることとなりました。逆光を気にせず撮ったような、暗い場面が多いのもその理由かもしれませんね。 登場人物は、京都のはずれに住む弁護士森山康(岸田森)とその妻(桜井浩子)彼らに、三…

六道神士「エクセル・サーガ」

六道神士がヤングキング誌上にて10年にわたって展開している美少女ギャグマンガ?現在まで18巻刊行。 最近、この作品に異常に嵌っていて、とりあえずコミックは短期間で揃えた。アニメもとりあえずネット上で見れる範囲は見て、レンタルビデオで探しては見た…

黄色い涙

犬童一心監督。「嵐」主演の1963年を舞台にした青春群像もの。 上記の「フラガール」が主観的に高評価できない映画とするなら、こっちは主観的に高評価したい映画だ。別にぼくは「嵐」のファンでもない。ただ、青春の終わりかけた時期に観たこの作品に、感情…

フラガール

李相日監督。1950年代の東北地方で、町おこし事業としてハワイアンセンターを作ろうとした人々の苦難と成功までを描く作品。 去年の公開時に1回見て、テレビ放映でもう一回見た。 一言で言えば、けちのつけようのない作品。あちこちから「いい映画ですよー」…

ガンジス河でバタフライ

メ〜テレ開局45周年記念ドラマ、らしい。脚本は宮藤官九郎。出演は長澤まさみ、塚本高史、中谷美紀、荒川良々、竹下景子、石橋蓮司など。 感想。自分はクドカン目当てで見た。クドカンって狭い処を狙ったコメディで、ある意味あるある系の笑いにも通じるとこ…

出るトコ出ましょ!

2007年にフジテレビで放映されたスペシャルドラマ。出演は、堀北真希、谷原章介、小池栄子、温水洋一、近藤正臣など。 やっと堀北真希に合うコメディができた。全員がマンガマンガしたキャラだし、お世辞にも名作とはいえないのだけれども、いち堀北ファンと…

筒井康隆「心狸学・社怪学」

10月から12月にかけての季節はなんだか終末観が漂っている。個人的に、この終末観は自分が何らかの問題を抱えているときには逃げ出したくなるくらいいやなのだけれども、特に何の問題も抱えていないときには本や映画などに触れたときに感じるものとして大好…

「めがね」

荻上直子監督の映画。出演は、小林聡美、もたいまさこ、光石研、市川実日子、加瀬亮。 きっと、バリバリ仕事をこなす上昇志向の塊のようなエリートサラリーマンの人は受け付けない映画だと思う。ぼくは上昇志向だの競争意識だのを欠いた、「あー、こんな世界…

デス・プルーフinグラインドハウス

クエンティン・タランティーノ監督の映画。 グラインドハウスっていう、B級もB級な映画のジャンルがあることは知っていたけれど、それがどんな映画なのかは、実物を見たことがないのでまったくわからない。だけど、この映画の端々に感じるチープさとか、70年…

逃亡くそたわけ〜21才の夏〜

原作絲山秋子の映画。監督は本橋圭太。主演は美波と吉沢悠。 うーん、期待しすぎたからなのか、そこまでいいと思えなかった。これは明らかに自分がThe ピーズの大ファンであるからなのだろうけど、もっとピーズの楽曲を使ってほしかった。 これには理由があ…