人のセックスを笑うな
井口奈己監督作品。2007年公開。出演は永作博美、松山ケンイチ、蒼井優、忍成修吾など。
まず、全体的に長回しへのこだわりが感じられて、すごくよかったです。相米慎二の「台風クラブ」にやられて以来、長回しフェチになりつつあるんですけど、これは本当に有効な長回しだったと思います。
何と言いますか、3分も5分も長回しされているうちに、スクリーンの隅々から多くの情報が読み取れて、それがリアリティに繋がっているんですね。永作とマツケンのやりとりがまるで本当に付き合っているみたい、というか。おそらくきっちりとはまった演技指導を与えるよりも、役者に演技をさせてそこから考えて作っていくタイプなのだと思いますね。フリーダムな、一種の作家主義です。
そして、蒼井優。毎回思うんですけど、ちょっとスノッビッシュな映画ヲタならここまで高評価受けている蒼井優を、確かにすばらしい演技力だと思うけれど、一回くらいこき下ろしてみたい、なんて意地悪な考えが起きてしまって。けれども毎回屈服せざるを得ない。私の負けよ。くやしい。と、なるわけです。
今回も見事だった。観覧車の中のシーンとか。
惜しむらくは、上映時間が少し長すぎて、永作博美が退場した後はちょっと疲れてきてしまったこと。後半はジャキジャキ編集してもよかったんじゃないかなあ。でも、今年を代表する傑作だと思います。
- 作者: 山崎ナオコーラ
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2006/10/05
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