OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

Another Sky/GRAPEVINE

another sky
Release 2002.11.20

 グレイプバイン5枚目のアルバム。
 うわー、何これ。久々に聴き返してみたけど、なんとも言えない感情が残っている。これは『空気人形』を観た時と同種の喪失感だ。なんというか、恋人と別れた直後には絶対聴いてはいけないけれど、1ヶ月後くらいに聴くと染みるアルバムだと思う。
 実際にこのアルバムをリリースした当時バインはベースの西原さんが病気療養から復帰した作品であり、結果的には脱退してしまったためラスト参加作となった作品です。
 アレンジとしては前作『Circulator』では亀田誠治プロデュースの混沌の中に身を置いていたのですが、これはシンプルにまとめています。『Circulator』での挑戦を経て、どのナンバーもGRAPEVINEとしか言えない味になっています。
 一曲目のうつろなナンバー「マリーのサウンドトラック」から始まって、疾走感のあるロックンロール「ドリフト160(仮)」「BLUE BACK」「マダカレークッテナイデショー」と続き、メロウで泣ける「それでも」「colors」からミディアムテンポの「Tinydogs」(サビの歌詞の乗せ方が最高)、「Let me in 〜おれがおれが〜」と流れ、透き通ったアレンジの「ナツノヒカリ」、都会的なアレンジの「Sundown and hightide」、エモーショナルなボーカルが胸に響く「アナザーワールド」ときて、ラストを飾るのは後ろで鳴っている電子音すら寂寥感を助長させる「ふたり」。
 全体を通してメロディも冴えわたっているし、バイン史上完成度の点では最高かもしれない。けれど、個人的には『Circulator』や『イデアの水槽』の混沌が好きだったりするので。歌詞も完全に楽曲の一部になっていて、改めて歌詞カードを読む必要があるのもちょっと。
 ただ、「それでも」の「死ぬまで抱いていたいのです」の部分が来るといつもないてしまうわけですが。

★★★★★★★★☆☆