アラビアのロレンス(★★★★☆)
2011/12/30鑑賞
@シネマパレット(午前10時の映画祭)
僕にはこの映画を語るのはまだ早すぎる気がする。
映像の素晴らしさ等は圧巻だったが、すべてを感受できた気が全くしない。実際に、半分眠りそうになったことも何箇所か・・・。
ただ、こういった状況で語るのも、歴史の波になすすべなく呑まれていくロレンス(ピーター・オトゥール)の状況にも重なるような気がするので、あえて今こそ書かせていただく。
とにかく受け止めきれなかったとしか言えない。
歴史映画というのは自分にとってはかなりの鬼門だ。そのことが、この映画を観た際に再認識できた。つまり、歴史の中において一個人など取るに足らぬ存在にすぎず、それゆえ、歴史をきちんと作ろうとすればするほど、人間讃歌という性格から遠のいてしまう。
その極北というのがこの作品だと思う。
ロレンスは確かに歴史に名を残した人間となったかもしれない。しかしながら、結局この戦争において、彼は何もできなかったんじゃないか?それが、最後の残虐な戦闘シーンにおいて彼が極端化されたまでに臆病な演技をしているところからわかる。
外部からのイメージとの乖離、理想と現実のギャップ、そういったものに苛まれていくロレンスの姿は観ていてつらかった。或る意味、「でもやるんだよ」精神を体現した映画だ(ただし、個人的にはこの精神性について100%同意出来ないのです)。
そのほかにも、現代は世界中が近代化という名のアメリカナイズされているため、異なる文化間を行き来することで発生する一種の(表現は悪いが)タイムスリップ感が出せなくなっているのだろうなと思った。そして、欧米とイスラム圏が断絶してしまった現代においては、この構図が非常に皮肉なものに思えてならない。
結局、運命には抗えないし、わかりあうこともできないということを残酷にもこの映画は描いているのだから。
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