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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

さよならドビュッシー(★★☆☆☆)


2013/1/29鑑賞

桜坂劇場



橋本愛のアイドル映画として



『このミステリーがすごい』大賞受賞作の映画化。主演は橋本愛



『告白』('10)をファーストステップとし、『桐島、部活やめるってよ』('12)のかすみ役で映画クラスタの心を掴んだ感のある橋本愛の次なるステップ作品ということで鑑賞した。



 もともと、ミステリー小説の映画化は上限が70点くらいに設定されている気がする。『ロング・グッドバイ』('74)のように推理とは異なる魅力をはなっているのなら別だが、推理という活字との親和性が高い表現に映像が挑むのは難しい。

 個人的に上記のような偏見(?)があることもあってか、推理ものとしてはたいして期待していなかった。だからなのか、多くの人が早くから気付いていたという物語最大の真相には全然気づかなかったので、明かされた時結構びっくりした。その点ではこの映画を十分に楽しんだといえるのかも。

 ただ、これは自分が多少うがった見方をしていたからで、やはり映画として観ると欠点が目立つ。その欠点がどこに端を発しているかというと、音楽映画とミステリー映画のどちらとしても中途半端なところにある。



 極端な話、この映画、ミステリーだということを隠してもよかったんじゃないかな?ぼくはこの映画より『少女たちの羅針盤』('11)のほうが評価できる。それというのも、『少女〜』においてはミステリー以外の要素(演劇青春モノ)の描写がしっかりしていたからだ。あの映画はミステリー部分以外を取り出しても青春映画として楽しめる出来になっている。



 この映画も、岬洋介(清塚信也)の演奏シーンは本職のピアニストだけあって音楽的な快感が発生する。また、レッスンのシーンにおいて、ある事情によりドビュッシーアラベスクを早く弾き終わろうとする橋本愛に対する岬の叱咤は素直に心を打った。

 ただ、どうしても細部の詰めが甘いと感じてしまう。

 

 全体を通してノイズになったのが、ある事情で負傷した主人公がどの程度まで回復しているのか分かりづらいというところにある。寓話的な話にしてはメッセージ性が弱すぎる。青春映画としての側面を強調するならリアリズムの徹底は必須になる。この映画はそこを犠牲にするだけの魅力は、残念ながら、無い。



 ただ、現実から飛躍したシーンで魅力的な部分は確かにあった。序盤の橋本愛が駆けるところに合わせてカメラも動くところ、中盤の楽屋からステージまでの流れをワンカットでとらえたところ、クライマックスの演奏シーンにおいて過去と現在が交錯する瞬間など、魅力的なシークエンスは確かにある。本当に、これが全編において発揮されていればと思わざるを得ない。

さよならドビュッシー

さよならドビュッシー