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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『グランド・ブダペスト・ホテル』(ウェス・アンダーソン)  ★★★★★

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2014/6/15@シネマQ
 ちょう最高!至福の100分。21世紀に入ってからのウェス・アンダーソン最高傑作では? 一緒にこの映画観た彼女は初めてウェス・アンダーソン作品を観たのだけれども、楽しめたと言っていたので、おそらく映画マニアだけに訴求する作品ではないと思います。
 ウェス・アンダーソンの作風は一貫しているけれども、モチーフは徐々に移り変わっている。彼の作品につきものだった父子関係は疑似的なものに姿を変えて後退し、その代わり映画は純粋に娯楽に近づいている。
 僕はウェス・アンダーソンの作風として語られやすいシンメトリックな画作りとか、あと細部までこだわりぬいたファンシーさとかは「病気」の象徴だと思っていた。『ロイヤル・テネンバウムズ』や『ライフ・アクアティック』で物語が解決する時、作られた画面ではなく自然のロケーションに戻ったように。 けれども、本作や『ムーンライズ・キングダム』はこの完璧に構成された場面で最後まで走りぬく。これは全編ストップモーションアニメ(すなわち虚構の徹底)作品『ファンタスティックMr.FOX』を通過したからなのかもしれない。で、その論理だとこの世界は実はすごく病んでいて、それゆえ気持ちいいのではないかと思った。そして、その「病気」とはノスタルジアのことだ。
 この映画では冒頭でこの映画が何重もの回想形式をとっていることが示される。それだけ徹底して過剰なノスタルジアがこの映画には含まれている。だからこそウェス・アンダーソンは今は失われてしまった楽しい時代を娯楽として表現することにこれほどまで心を砕く。間違いない偉業だと感じました。この「娯楽」を成り立たせるために行う動きの遊びがいかに優れているかなんて挙げて言ったらきりがないくらいだし。スキーのシーン最高!
 いくら語っても語り足りないですね。今年の映画で後世に残す映画を1本選ぶならこれになると思いました。