異人たちとの夏
大林宣彦作品。1988年公開。出演は、風間杜夫、秋吉久美子、片岡鶴太郎、名取裕子など。
これ以降、大林作品の特色のひとつとなる、死者との交流をベースにした作品。
冒頭の場面では風間の部屋を映し、80年代当時の空気を映し出して、その後浅草を映したときの対比とする手法にもってかれる。
それと、ぼくは大林作品のテンポがどうも好きらしい。わりと早めにシーンは移り変わるのだけれど、それがくどくなくて、非常にあっさりしていて、そこが飽きさせず最後まで集中して見られるようになっているのだと思う。
大林作品は相変わらず美しい。風間の死んだ両親の秋吉と鶴太郎が住むアパートの夕陽の入り込み方が好きだ。
大林作品の特色でもあり、またファンを選ぶことになっている要因のひとつに台詞の不自然さがある。だけど、この作品では脚本が市川森一ということもあり、比較的不自然に感じなくなっている。少しは感じるのだけれど、必然性を感じる。あるいは、役者の力によるものか。
よく話題に上がるラスト近くの名取裕子は、ぼくはあれはあれでありだと思った。ちゃちなホラーっぽい画面で風間と名取の対話を行い、この映画に恋愛話として哀しい結末を残す、それをプッチーニにのせて行うといった高度な手法だ。むしろ問題なのはこのシーンのシリアスさをそぐ風間のメイクでは?
風間と両親との別れのシーンは大林映画屈指の名シーン。
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