少年メリケンサック(宮藤官九郎)@シネマQ
★★★☆☆
この映画を見て、今更ながら宮崎あおいのファンになってしまいました。
クドカン作品は一昨年あたりから自己模倣に入ってしまった気がします。特にドラマの脚本でそれが顕著に見られた気がして、やっぱり木更津キャッツアイの完結は区切りだったのかなと寂しくなったもんです。
それゆえか、深田恭子や長澤まさみや柴咲コウがクドカン脚本で演技しているのを見ても、深田恭子や長澤まさみや柴咲コウが演技しているようにしか見えなかった。つまり、漫画的に極端な動きを必要とするクドカン脚本で、彼女たちは自分自身を消しきれなかった、という感じ。
だけど、この映画の宮崎あおいはすごかった。宮崎あおいが演技しているというのを忘れてしまったくらい「カンナ」と一心同体になっていた。あのしかめっ面がスクリーンいっぱいに広がったときの魅力といったら・・・。
余談だが三谷脚本で演じた綾瀬はるかも綾瀬が演じているということを感じさせなかった。たぶん、この二人はこれからもっと伸びるだろう。
それと、THEピーズのアルバムで「リハビリ中断」というタイトルがあって、このアルバムを最後にピーズは6年間の活動休止に入るのですが、この映画を見て、ロックとはリハビリなのかなと思いました。社会に適合できていないどうしようもない人たちにとっての最後の救い。ハルオもアキオもジミーもヤングも、50過ぎた今でも完全に社会に適合できているわけではない。アキオなんて特にひどい。それを見事に佐藤浩市さんは演じきっていたと思う(ただ佐藤浩市さんだとかっこよすぎるんだけど。そういえば宮崎あおいと佐藤浩市は「闇の子供たち」でも対立していたな。)。あと、ジミー役の田口トモロヲさんは元パンクバンドってこともあって、一番バンド姿が似合っていると思います。
で、この映画、実は相当脚本に粗があるんですけど、それをいちいちあげっつらねるのはやめにしましょう。パンクなんてそんなモンです。それよりもストーリーの勢いに任せ、細かな元ネタを確認してはニヤニヤするのが正しい鑑賞法です。
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