あしたのジョー(2011)(★★☆☆☆)
2011/2/28鑑賞
@シネマQ
高森朝雄原作・ちばてつや作画の名作漫画『あしたのジョー』を『ピンポン』の曽利文彦監督により映画化。
個人的にはイマイチな出来だと感じました。
矢吹丈というのは暴力以外の語る手段を持たない人物。なので、アプローチとしては『悪い男』や『息もできない』を踏まえるべき。
その点で、山Pはミスキャスト。終わった後に「やっぱ山Pはかっこよかった」という声が聞こえたのは、興行的アイドル的には成功だろうが、ジョーを描くという観点では失敗。「怖い」という意見が出てこなくてはいけない。あるいは、その言葉は僕たちのようなオッサンから引きださなくてはいけない。
それゆえ、本来ジョーが担うべき泥臭さ、汗臭さを、力石と丹下段平が担っていた。
ジョーお坊ちゃん説を唱えるとすれば最適なのかも。
キムタク同様、演じるにおいて山Pは山Pであるという自意識をどうやったって捨てられない。
だから、伊勢谷友介や香川照之が完全になりきっている一方で、山Pでしかないジョーが齟齬となる。
あんなせっけんの香りがしそうなジョーがいますか?
極めつけは力石死亡で泣き叫ぶジョー。演技下手過ぎ。堤新一が『容疑者Xの献身』で似たような演技をしていた。演出はこちらが上だが、演技のせいで台無し。
演出としては、試合のシーン。普通の打ち合いは試合の高揚感を演出できていて悪くないものの大事なシーンでスローモーションを多用しすぎ。
スローモーションは本当に大事なところにだけ使いなさいね。えーじゃない。
挙句、ラストでジョーがドヤ街に舞い戻ったところにまで使っていたのはもうアホかと。
試合後の「ジョーも頑張ったぞ」合唱もひどい。杉本哲太の役割もイマイチわからないし。借金どうなったの?
あと、序盤で暗過ぎて何が起こっているのかわからないシーンが多かった。序盤は展開も早過ぎ!
とはいえ、試合の迫力。そして、原作の持つインディーズからの成りあがり感、ライバルとの関係性の熱さなどを加味すると、そこまで悪くないのかな。
予告で使われていたシーンが、どれも一番ひどいシーンばっかりだったので、その意味で期待よりは上だった。
コントみたいなクロスカウンターとか、コスプレ段平の「立つんだジョー!」とか、なんで予告で入れた?
この点を改善して次回作は傑作にしてほしい。
追記:モロ師岡さんが食堂の店主だったが、きっと山Pにいっぱい飯を食わせて減量に失敗させるんだろうと思わせた(わからない人は『キッズ・リターン』(’96)を観よう)。
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