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OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

『スノーピアサー』(ポン・ジュノ) ★★★★★

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 レンタルBlu-Rayで鑑賞。とてもよかった。ポン・ジュノすごい。ただ、正直なところすべてを受け止めきれなかったかも。
 この映画は実はハリウッド映画ではない。出資国にアメリカはいるが、撮影はチェコだし、そして何より韓国映画だ。韓国の映画に世界各地からスタッフやキャストが集まってできた映画といったほうが正しい。そういった成立ちもあるのだろうけど、凡百の監督だったら肥大したバジェットや娯楽としてのわかりやすさに流されて、面白くない作品になっていたかもしれないが、ポン・ジュノはそういったテクニックすら掌握して、まぎれもなく彼の映画にしていた。正確に言えば、ポン・ジュノ映画としてリッチネスを増幅させる方法としてテクニックを最大限に有効活用していた。そこに感動した。
 正直に言えば、最初の1時間くらいは画面が暗く何が起こっているのかわかりづらかった。ここまで画面が暗い映画は『クーリンチェ少年殺人事件』以来じゃないかと思うくらい。あとから思えば、これもテーマに則していた。見事。
 あとは世界観の構築。こういった一種のパラレルワールドを作る際には、何かしら私たちの世界とは違う道を歩んでいることを美術で教える必要がある。想像を超えているが説得力のあるガジェットの数々がその役割を果たす。あと、冒頭で簡単に世界が滅んでしまうところ、この映画内では何が起こってもおかしくないと思わせられる。
 そして、この列車の存在が何らかの寓意を持って響いてくるわけですね。「ノアの箱舟」とかそういったものに思えてきたし、はたまた人類の縮図であるように思えてくる。それこそが終盤の展開の面白さにつながってくる。決断がスリリングなドラマとして機能する。
 過去作が過去作なだけに、確かにポン・ジュノ作品としてのとまどいはある。そのあたりは、今後突き詰めて考えていきたい。僕はこの映画を肯定しますし、新しい娯楽映画のかたちとしてメルクマールになってほしいと思いました。