OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

サニーデイ・サービス「24時」

 サニーデイ・サービスの5枚目のアルバム。1998年発表。
 サニーデイというと、お洒落なバンドの代名詞とか、渋谷系の継承者とかいうイメージが大きいけど、このアルバムは別でマグマのような鬱屈した情念が詰まったアルバム。
 サニーデイは日本人の季節感を楽曲の世界で顕著に表すバンドなのだけれども、特に夏の表現が、東京の夏のやるせなさみたいなのを大いに含んでいて、時にはその世界観にどっぷりつかりたいような日もある。
 曽我部恵一というのは、日本で有数の男の色気を感じさせるシンガーであるわけだけれども、ここで演じる役は蹉跌する青年。ぼくはあまり詳しくないのだけれども、ATGやにっかつポルノ映画のような、1970年代の日本映画に感じられる青春の鬱屈を継承しているらしいです。一曲目「さよなら!街の恋人たち」の間奏前の部分、「夏が来てるって誰かが言ってたよ」という歌詞の部分の「いってたよぉーーー」と伸ばす、その時のかすれ具合にそれが凝縮されているのだと思う。
「シルバースター」「黄昏」「今日を生きよう」「月光荘」「経験」「ぼくは死ぬのさ」「24時のブルース」(特にこの曲は10分以上あるのにぜんぜん飽きない)など名曲も多く、サニーデイの本筋かどうかはわからないけど、個人的にサニーデイで一番好きなアルバムで、毎年夏が来ると聞きたくなる。

24時

24時