OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

2014-01-01から1年間の記事一覧

『ブラックホーク・ダウン』(リドリー・スコット)

レンタルBlu-Rayにて鑑賞。 改めてブルーレイで観ると隅々まで構成された画面や色彩にうっとりする。けれども描かれるのは悲惨な戦場。このバランスがリドリー・スコットらしい。 正直、自分の中で好きか嫌いかはっきりした作品ではない。まだ咀嚼しきれてい…

『浮き雲』(アキ・カウリスマキ)

レンタルDVDで鑑賞。かなり好き。今まで見た中では一番見やすいと思った。アキ・カウリスマキ監督の円熟を感じた。初心者にもおすすめかも。 カウリスマキ作品の中では見やすいと書いたのは、これがかなり強固な物語構造を持っているから。けれども、冷静に…

『生きるべきか死ぬべきか』(エルンスト・ルビッチ)

以前レンタル落ちを購入していたDVDを鑑賞。とてもよかった。物語を進めることが第一義、メッセージを伝えることが第一義の映画だが、それでも要所要所で爆撃映像を挿入する、中盤の劇場内追いかけっこの映画的高揚等、見所はあった。 この映画を下敷きにし…

『愛しのタチアナ』(アキ・カウリスマキ)

レンタルDVDで鑑賞。モノクロ映画。何本か見て思ったけれども、もうカウリスマキ作品は面白いとかつまらないとか、そういった次元で語るのはよしたい。そこに世界があるだけでいい。 ロードムービーですね。とにかく、マッティ・ペロンパーのぎこちない動き…

『THE NEXT GENERATION パトレイバー 第1章』(押井守) ★★★

レンタルDVDで鑑賞。実はパトレイバー関係に触れるのはこれが初めてなのですが、わりと楽しめました。 なんというか、拘束時間は長いけど閑静期というあのバランスについて描いた「お仕事」映画として楽しかった。 この作品で重要なのは、シバシゲオという声…

『浜辺の女』(ジャン・ルノワール)

素晴らしかった。スコット、ペギー、テッド、3者3様の過去への執着、それらの作用によってドラマが進む。 ペギーとテッドの関係性は『散りゆく花』を連想したし、また、これより後の作品だが『めまい』に近いものを感じた。 テッドの家の美術はゴシックなも…

『ヒズ・ガール・フライデー』(ハワード・ホークス)

すでに評価が固まっているこの作品に私が何を言ったところで無意味なのだけれども、とにかく楽しんだ。それもほとんど古典ではなく、新作と遜色ない具合に。 90分のランタイムの中で会話の果たす役割は大きい。絶え間なく繰り出されるトーク、そのスピードに…

『ハナ 奇跡の46日間』(ムン・ヒョンソン)

レンタルDVDにて鑑賞。YUMEGIWA LAST GIRLS!これ、本当に映画館で観たかった。おそらく、没入の度合いが全然違ったはず。 まずこの映画の素晴らしさは、役者さんがきちんと卓球をしていて、プロの試合に見えることがあげられる。どこまでが本人の演技でどこ…

『チャイニーズ・ブッキーを殺した男』(ジョン・カサヴェテス) 

レンタルDVDにて鑑賞。数年前までプレミア価格だった映画がレンタルで見られるなんて、改めていい時代になった。もちろん傑作! カサヴェテス監督はまだ『アメリカの影』と『フェイシズ』しか見たことなかった。それらの作品は確かにとても魅力的だが、パタ…

『フェイシズ』(ジョン・カサヴェテス)

レンタルDVDにて鑑賞。圧倒された。 終盤にある人物の口からこの映画のテーマがはっきりと語られていることの繰り返しにはなるけれども、カサヴェテスの即興的演技は人物の内面をあらわにする性質のものではなく、むしろその人物の浅さを露呈するものになっ…

『オンリー・ゴッド』(ニコラス・ウィンディング・レフン) 判定不能

レンタルDVDで鑑賞。 正直に言います。よくわかりませんでした。 もう少し他のN.W.レフン作品を見てから改めて評価は下したいのだけれども・・・。ラスト20分くらいで完全についていけなくなっちゃった感がある。 噂に違わずヘンな映画だと思った。思ったよ…

『クレヨンしんちゃん 電撃!ブタのヒヅメ大作戦』(原恵一)

原恵一作品となっては今となっては感動モノの印象が強いけれど、こちらは(確かに感動する要素はあるものの)娯楽に徹している印象。楽しかった。 ギャグのハチャメチャさはなりを潜めている。まつざか先生のカラオケやIZAMの登場が浮いている気はするが、全…

30歳をすぎてはまったものいくつか

若い時でないと響かない表現もあるし、その逆もまた然り。 特に青春を感じさせるロックなど、僕は今聴くのはちょっと引き裂かれるような感覚に陥ることもあって、寝かせ時なのかなと思う。 それで、僕は30歳になって半月くらいなのだけれども、なんとなく30…

村上春樹『女のいない男たち』(文芸春秋)

なんて言うんだろう、今の村上春樹は「鬱期」にいるんじゃないか(本人が鬱かどうかは関係なく)。もっとも大きな違いは、かつて存在したユーモアが貼りを失っているような気がしたこと。 この短編集には流行りの言葉でいう「NTR(寝取られ展開)」が頻出す…

R-18文学賞 vol.1 自縄自縛の私(竹中直人)

正直にいえば序盤〜中盤はいまいちかなと思っていた。キャラクターが平板でその他の描写もリアリティがなく、役者でひっぱるのも難しいのかと。ただ、このちゃちさが終盤の展開に活きてくるように感じた。 ラスト40分、往年のロマンポルノを思わせるような展…

おもひでぽろぽろ(高畑勲)

なんだろうな、これは。自分の中では、いいところとすんなりと呑み込めないところが混在している映画という印象で。 まず、日常の動きを再現するために細かいところまで気を配った動画が素晴らしい。情報量の多い動きによって、絵に命を与え、観客にとっては…

テルマエ・ロマエII(武内秀樹) ★★

(@シネマQ) 批評を必要とする作品ではないので、細かい点は置いておく(魔女の概念が一般化したのはキリスト教以後では?等)。実際、わりと笑えたし。ただ、どうしてももっとがんばってほしかったところがある。 クライマックスで重要な役割を果たす水…

映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん(郄橋渉) ★★★★

とてもよかったです。泣きました。僕は中島かずき脚本が何だかんだで好きなんだと実感。 設定が絶妙。クレヨンしんちゃん映画はプログラムピクチャーであるため、キャラクターの劇場版での記憶はそのたびにリセットされるはずだ。しかしながら、野原ひろしは…

とらわれて夏(ジェイソン・ライトマン) ★★★★

まず、今までのジェイソン・ライトマンのイメージを大きく裏切るような作品であることを述べたい。なんつーか、エロかった。 行為自体をモロに描いている訳じゃないんだけれども、視線の使い方やボディ・タッチ、料理作りという暗喩を駆使して、特に前半、本…

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(アレクサンダー・ペイン) ★★★

実を言うと、過去のアレクサンダー・ペインに比べ、若干のれなかった。ただ、これはあくまでも受け手の問題。それをまず表明しておく。私の父はこの映画に出てくるブルース・ダーンにちかいところがあったんですね。だからかもしれないけど、逆にアタマで見…

JUNO ジュノ(ジェイソン・ライトマン)

ジェイソン・ライトマンはこの作品と続く『マイレージ、マイライフ』において、明らかに映画にマジックが起きているとしか思えない。素晴らしかった。 僕、『パシフィック・リム』みたいな映画を見ても「なんでこれを日本でつくれないんだ」とは思わないんで…

ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!(アレクサンダー・ペイン)

とても面白かった。一時も飽きることなく見ることができ、アレクサンダー・ペインの優秀なストーリーテリングを堪能。 最初は複数の語り手が存在する作りに、これは奇抜かもしれないけど映画としてはどうだろうと思っていたんだけれども、改めて振り返ってみ…

岡本茂樹『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)

実は後半何度か落涙した。加害者を更生させるには自分の罪を自覚させること、そのためには負の感情を吐き出させ、そのおおもとはどこにあるか(家庭環境に含まれることが多い)を探り当てる必要がある。 他者を頼ることのできる人間になること、「弱さ」を見…

小田切博『戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌』(NTT出版)

近年映画が盛り上がっているアメコミについて勉強する目的で読む。改めて気付かされたのが、アメコミというのが若い文化という印象があるがロックンロールよりも歴史のある文化だということ。 タイトルで言われていることは、戦後において急激にアメコミにお…

映画オールタイムベスト100

1オアシス 2リトル・ミス・サンシャイン 3気狂いピエロ 4愛のむきだし 5うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 6暗殺の森 7シザーハンズ 8キャリー 9フォロー・ミー 10シャブ極道 11ダンサー・イン・ザ・ダーク 12マルホランド・ドライブ 13しとやかな獣…

ラルジャン(ロベート・ブレッソン)

はっきりいって呑み込めてないです。昔の映画を評するのに、それより後に発表された愚を覚悟で言うなら、連想した作品は『ザ・マスター』と『シークレット・サンシャイン』だった。 こういうのが俺の甘さだというのは自覚しているけど、あれほどまで映画上で…

オールタイムベストアルバム(洋楽編)

1.From the Attic/DamoneFrom the Atticアーティスト: Damone出版社/メーカー: RCA発売日: 2003/05/06メディア: CD クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る2.Lights are Changing/Mary Lor LordLights Are Changingアーティスト: メアリー・ルー・…

オールタイムベストアルバム(邦楽編)

1.カメラ=万年筆(ムーンライダーズ)カメラ=万年筆スペシャル・エディションアーティスト: ムーンライダーズ出版社/メーカー: 日本クラウン発売日: 2011/04/27メディア: CD購入: 4人 クリック: 88回この商品を含むブログ (12件) を見る2.シンクロニシティー…

ガンモ(ハーモニー・コリン)

コリン監督作を観るのは2作目。竜巻によって疲弊した町を描く。中心になるのは、ちびでやせっぽちな青年と背の高い青年のコンビが色々と非倫理的なことを繰り返すだけで、ストーリーらしいものはない。猫好きは注意。 一応中心になる青年たちのエピソードの…

LEGO(R)ムービー(フィル・ロード、クリストファー・ミラー) ★★★★

(@ミハマ7プレックス) よかったです!『スターウォーズ』や『2001年宇宙の旅』あたりの新古典というべき映画をもとに新世代の神話を作り上げていると思いました。 序盤はこれでもかってくらいの王道な展開を見たこともない映像でやってくれているところが…