OKINAWA MOVIE LIFE

沖縄(宮古島)在住の映画好き。ツイッターは@otsurourevue

おもひでぽろぽろ(高畑勲)

なんだろうな、これは。自分の中では、いいところとすんなりと呑み込めないところが混在している映画という印象で。 まず、日常の動きを再現するために細かいところまで気を配った動画が素晴らしい。情報量の多い動きによって、絵に命を与え、観客にとっては…

テルマエ・ロマエII(武内秀樹) ★★

(@シネマQ) 批評を必要とする作品ではないので、細かい点は置いておく(魔女の概念が一般化したのはキリスト教以後では?等)。実際、わりと笑えたし。ただ、どうしてももっとがんばってほしかったところがある。 クライマックスで重要な役割を果たす水…

映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん(郄橋渉) ★★★★

とてもよかったです。泣きました。僕は中島かずき脚本が何だかんだで好きなんだと実感。 設定が絶妙。クレヨンしんちゃん映画はプログラムピクチャーであるため、キャラクターの劇場版での記憶はそのたびにリセットされるはずだ。しかしながら、野原ひろしは…

とらわれて夏(ジェイソン・ライトマン) ★★★★

まず、今までのジェイソン・ライトマンのイメージを大きく裏切るような作品であることを述べたい。なんつーか、エロかった。 行為自体をモロに描いている訳じゃないんだけれども、視線の使い方やボディ・タッチ、料理作りという暗喩を駆使して、特に前半、本…

ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(アレクサンダー・ペイン) ★★★

実を言うと、過去のアレクサンダー・ペインに比べ、若干のれなかった。ただ、これはあくまでも受け手の問題。それをまず表明しておく。私の父はこの映画に出てくるブルース・ダーンにちかいところがあったんですね。だからかもしれないけど、逆にアタマで見…

JUNO ジュノ(ジェイソン・ライトマン)

ジェイソン・ライトマンはこの作品と続く『マイレージ、マイライフ』において、明らかに映画にマジックが起きているとしか思えない。素晴らしかった。 僕、『パシフィック・リム』みたいな映画を見ても「なんでこれを日本でつくれないんだ」とは思わないんで…

ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!(アレクサンダー・ペイン)

とても面白かった。一時も飽きることなく見ることができ、アレクサンダー・ペインの優秀なストーリーテリングを堪能。 最初は複数の語り手が存在する作りに、これは奇抜かもしれないけど映画としてはどうだろうと思っていたんだけれども、改めて振り返ってみ…

岡本茂樹『反省させると犯罪者になります』(新潮新書)

実は後半何度か落涙した。加害者を更生させるには自分の罪を自覚させること、そのためには負の感情を吐き出させ、そのおおもとはどこにあるか(家庭環境に含まれることが多い)を探り当てる必要がある。 他者を頼ることのできる人間になること、「弱さ」を見…

小田切博『戦争はいかに「マンガ」を変えるか―アメリカンコミックスの変貌』(NTT出版)

近年映画が盛り上がっているアメコミについて勉強する目的で読む。改めて気付かされたのが、アメコミというのが若い文化という印象があるがロックンロールよりも歴史のある文化だということ。 タイトルで言われていることは、戦後において急激にアメコミにお…

映画オールタイムベスト100

1オアシス 2リトル・ミス・サンシャイン 3気狂いピエロ 4愛のむきだし 5うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー 6暗殺の森 7シザーハンズ 8キャリー 9フォロー・ミー 10シャブ極道 11ダンサー・イン・ザ・ダーク 12マルホランド・ドライブ 13しとやかな獣…

ラルジャン(ロベート・ブレッソン)

はっきりいって呑み込めてないです。昔の映画を評するのに、それより後に発表された愚を覚悟で言うなら、連想した作品は『ザ・マスター』と『シークレット・サンシャイン』だった。 こういうのが俺の甘さだというのは自覚しているけど、あれほどまで映画上で…

オールタイムベストアルバム(洋楽編)

1.From the Attic/DamoneFrom the Atticアーティスト: Damone出版社/メーカー: RCA発売日: 2003/05/06メディア: CD クリック: 5回この商品を含むブログ (4件) を見る2.Lights are Changing/Mary Lor LordLights Are Changingアーティスト: メアリー・ルー・…

オールタイムベストアルバム(邦楽編)

1.カメラ=万年筆(ムーンライダーズ)カメラ=万年筆スペシャル・エディションアーティスト: ムーンライダーズ出版社/メーカー: 日本クラウン発売日: 2011/04/27メディア: CD購入: 4人 クリック: 88回この商品を含むブログ (12件) を見る2.シンクロニシティー…

ガンモ(ハーモニー・コリン)

コリン監督作を観るのは2作目。竜巻によって疲弊した町を描く。中心になるのは、ちびでやせっぽちな青年と背の高い青年のコンビが色々と非倫理的なことを繰り返すだけで、ストーリーらしいものはない。猫好きは注意。 一応中心になる青年たちのエピソードの…

LEGO(R)ムービー(フィル・ロード、クリストファー・ミラー) ★★★★

(@ミハマ7プレックス) よかったです!『スターウォーズ』や『2001年宇宙の旅』あたりの新古典というべき映画をもとに新世代の神話を作り上げていると思いました。 序盤はこれでもかってくらいの王道な展開を見たこともない映像でやってくれているところが…

アナと雪の女王(クリス・バック、ジェニファー・リー) ★★★★

れりごー!れりごー! 『アナと雪の女王』の何がいいって、やっぱりエルサの造る氷の造形で、単純に作り込みだけ見ても、もはや変態の域に達しているのだけれども、これがエルサの内面を如実に現していて、それがもう見事!こういうのって映画でしか見られな…

それでも夜は明ける(スティーヴ・マックイーン) ★★★★

連想した映画がなぜか『千と千尋の神隠し』と『TIME』だった。 スティーブ・マックイーン監督の映画を観るのは2作目。『SHAME』ではまだ文体を掴みきれていなかったが、今回はその文体により映画自体にも乗れた。長回しの多用により、作品自体の問題意識を観…

悪の法則(リドリー・スコット)

ライムスター宇多丸さんをはじめとする色々な人の批評で補助線が引かれていたこともあってか、この映画の持つ不穏さが自分にとって合致するような、映画経験でした。 ぼくにとって、『悪の法則』は2013年の1位に選んだ『ゼロ・ダーク・サーティ』と同じ効用…

LIFE!(ベン・スティラー) ★★★★

確かに面白かったし、何度か泣いたけれども、(嫌な言い方になるが)多分年間ベストには喰い込まないだろうなあと思った。自分の中でそういった作品には一種の「毒」が必要な気がするので。 『エンド・オブ・ザ・ワールド』(スティーブ・カレルとキーラ・ナ…

キルラキル(今石洋之)

久しぶりにアニメをリアルタイムで最後まで見た。この作品に限らないが、中島かずき脚本の超理屈(間違っていても力づくで納得させられるような論法)がだんだん気持ちよくなっていく。 多層構造を持った作品なので、「服」が持つ意味は受け取る人ごとで違っ…

小さいおうち(山田洋次) ★★★★★

(@シネマパレット) 歴史の不透明さに誠実に向かい合った作品。朝ドラのようなセットや芝居がかったセリフ回しがすべて有効に作用している。かといって、完全な絵空事にならないように役者の演技の間によって息が吹き込まれている。 やはりびっくりしたの…

甘い鞭(石井隆)

ちょっとネタバレせずに語るのが難しい作品。オープンエンドではあるけれど、ストーリーの肝が評価を左右するように思えるので。 最近の石井隆は『ヌードの夜』以降また若返っているように思う。これも『フィギュアなあなた』ほどではないにせよ変な映画だっ…

共喰い(青山真治)

ぬめっとした嫌な感触が全体を覆っているが、ロケーションの豊潤さにより映画として満足。よくよく考えれば、冒頭はほぼナレーションによる状況説明なのだけれども、なんというか、「場」から物語が立ちあがる感じがした。つまり、この映画の舞台となった下…

三人の妻への手紙(ジョセフ・L・マンキーウィッツ)

思ったよりも大胆な構成。いきなり話題に出ている人物のナレーションが入ったり、回想が本編を食ったり。しかしながら、マクガフィンが虚実を明らかにする展開が見事。つまり、その場にはいないアディという女性が映画全体をひっぱるわけです。そしてアディ…

風と共に散る(ダグラス・サーク)

これは三宅隆太監督が言うところの「心霊映画」。なんせ冒頭から風でカレンダーが逆にめくれるところから始まっている。この部分のアニメーションが不気味でよかった。ほとんどアバンタイトルの部分はゴシックホラーの要素もある気がする。 この時期(1950年…

Wake Up, Girls! 七人のアイドル(山本寛) ★★

こういう形式の作品も年末のランキングを考える際に考慮していいのだろうか。おそらく、TVシリーズのプリクエル的な作品なので単体の評価は難しいが、全体的に違和感。 さすが山本寛監督だけあって、作画のなめらかさとか美術とかは目を見張るものがあった。…

麦子さんと(吉田恵輔) ★★★

泣きました。吉田恵輔監督は、『さんかく』で恋愛がストーカー化する仮定を、『ばしゃ馬さんとビッグマウス』では夢を諦めるということを描き、まずその着眼点にびっくりするのだけれど、今回は親不孝について子供の視点から描いていて、やはりこの映画も「…

もらとりあむタマ子(山下敦弘) ★★★★★

聞きしに勝る傑作。前田敦子という女優は『クロユリ団地』でも感じたけれど、覇気のなさが魅力に繋がっていて、その意味でこれはジャストフィットな素材だった。で、昨日見た映画の中で、一番ドラマを感じたのも実はこの映画だった。秋編にて死んだ目でロー…

キック・アス/ジャスティス・フォーエヴァー(ジェフ・ワドロウ) ★★★

(@シネマQ) 面白かったし、何シーンかでは泣いたし、中盤まではひょっとして前作超えもありうるかと思ったけれど、収束に手間取った印象。 正直、なんでモヤモヤ抱えているのかうまく言葉にできない。これは人によっては評価するポイントなのかもしれない…

桜、ふたたびの加奈子(栗村実)

日本版『ラビット・ホール』だった。 お涙頂戴映画の皮を被ったジャンル映画(ホラー?)として一部で評価が高い本作ですが、わりとまっとうに楽しめました。結構演出が面白い。冒頭の葬式シーンはわりと長めのカットをとるし、その他にも「なんでこんな撮り…